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天狐あやかし秘譚
第110章 機略縦横(きりゃくじゅうおう)
☆☆☆
支部に対して報告書の送信を終え、パタンとラップトップの蓋を閉じた。
同じものが西園寺様の端末にも転送されているはずである。
「結局、今回のことってなんだったんでしょうか」
私がせっせと報告書を打っている傍らで、ホテルの客室に備え付けのトランプでトランプタワーを作っている西園寺様に疑問をぶつける。
「ん・・・そうだな・・・
大武家はもしかしたら鬼付きの家系なのかもしれない。
不定期に鬼の素質を持つ者があらわれるんだ
今回、4人兄弟の中で時弥がその『当たり』と言っていいかわからないけど
鬼性を引いてしまった」
西園寺様が手にしたジョーカーのカードをこちらに見せてくる。
「県警によると、先代の大武甚弥には正妻のほか、妾が4人いたらしい」
「よ・・・4人!?」
「そ、和弥と朔弥は正妻の子だったけれども、
時弥は四人の妾の中のひとり、笹岡土岐子という女性との間にできた子どもだった」
「え?じゃあ、和羽さんは?」
「和羽はまた別の妾の子だ。大森京香・・・だったかな?
こちらは妾というより愛人だな。繁華街のホステス」
「呆れた・・・」
「だが、甚弥は自身の血さえ引いていればすべての子を平等に扱ったらしい。
正妻の子だろうが、ホステスの子だろうが、教育費も養育環境も十分に与えて厚遇した・・・だから、正妻も妾も愛人も誰一人甚弥を悪く言うやつはいなかったらしい。」
ところが、その甚弥が・・・死んだ。
そっとトランプタワーのてっぺんにジョーカーを載せようとしたとき、タワーがバラバラと崩れてしまう。
「そこで勃発したのが、今回の相続競争。
フェアっちゃフェアだよな。同じ環境を与えて、同じ土俵で競わせて、一番優秀な子にすべてを継がせる・・・。実際、甚弥自身もその父親の愛人の子だったらしいから」
「甚弥がどうとかいう以前に、大武家がもともとそういう家系だったってことですか?」
「そうだね」
西園寺様が、また一枚一枚、トランプを慎重に組み立て始める。
支部に対して報告書の送信を終え、パタンとラップトップの蓋を閉じた。
同じものが西園寺様の端末にも転送されているはずである。
「結局、今回のことってなんだったんでしょうか」
私がせっせと報告書を打っている傍らで、ホテルの客室に備え付けのトランプでトランプタワーを作っている西園寺様に疑問をぶつける。
「ん・・・そうだな・・・
大武家はもしかしたら鬼付きの家系なのかもしれない。
不定期に鬼の素質を持つ者があらわれるんだ
今回、4人兄弟の中で時弥がその『当たり』と言っていいかわからないけど
鬼性を引いてしまった」
西園寺様が手にしたジョーカーのカードをこちらに見せてくる。
「県警によると、先代の大武甚弥には正妻のほか、妾が4人いたらしい」
「よ・・・4人!?」
「そ、和弥と朔弥は正妻の子だったけれども、
時弥は四人の妾の中のひとり、笹岡土岐子という女性との間にできた子どもだった」
「え?じゃあ、和羽さんは?」
「和羽はまた別の妾の子だ。大森京香・・・だったかな?
こちらは妾というより愛人だな。繁華街のホステス」
「呆れた・・・」
「だが、甚弥は自身の血さえ引いていればすべての子を平等に扱ったらしい。
正妻の子だろうが、ホステスの子だろうが、教育費も養育環境も十分に与えて厚遇した・・・だから、正妻も妾も愛人も誰一人甚弥を悪く言うやつはいなかったらしい。」
ところが、その甚弥が・・・死んだ。
そっとトランプタワーのてっぺんにジョーカーを載せようとしたとき、タワーがバラバラと崩れてしまう。
「そこで勃発したのが、今回の相続競争。
フェアっちゃフェアだよな。同じ環境を与えて、同じ土俵で競わせて、一番優秀な子にすべてを継がせる・・・。実際、甚弥自身もその父親の愛人の子だったらしいから」
「甚弥がどうとかいう以前に、大武家がもともとそういう家系だったってことですか?」
「そうだね」
西園寺様が、また一枚一枚、トランプを慎重に組み立て始める。

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