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天狐あやかし秘譚
第106章 形勢逆転(けいせいぎゃくてん)
階下に逃げたか?

そう思った九条は、呪霊を追うべく走り出しかけた。しかし、廊下に倒れている黒咲を見て、少しためらったものの、結局その足を止めた。

「君・・・大丈夫かい?」

ケガをしているかもしれない。不可思議な力で呪霊と対等に渡り合っていたとは言え、素人だ。呪術の影響を受けて何処かに霊障が起きていないとも限らない。

膝をついて、九条が黒咲に手を差し伸べた。

「あ・・・ああ・・・」

洗いざらしの長い髪の陰から、黒咲の目が覗いていた。突然、取っ組み合っていた何かがいなくなったことに驚いたのか、九条の存在に今気づいたのか分からないが、彼女は目を大きく見開いて彼を見つめていた。
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