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天狐あやかし秘譚
第106章 形勢逆転(けいせいぎゃくてん)
☆☆☆
「九条様!!」
「明咲ちゃん!」
果たして、あれから怪異は現れることなく、九条様が到着した。タクシーを飛ばしてきてくれたようだったが、それでもたっぷり30分以上はかかった計算だ。その間、気を張り詰めて周囲に目を光らせていた私は、九条様の顔を見るなり緊張の糸が切れてしまい、それこそ糸の切れたマリオネットのようにぺたんとお尻から地面に崩れ落ちてしまった。
「九条様・・・怪異が・・・」
「うん、聞いたよ・・・さ、立てるかい?」
そっと手を差し伸べてくれる。優しいお顔。
その顔を見ただけで、私の苦労は全て報われた・・・そんな気がした。
遠慮がちに手を触れると、ぐいっと力強く掴んでくれる。
そのままふわりと私の身体は軽々と持ち上げられた。本当はその勢いで抱きついてしまいたいと思ったが、もちろん、そんな大胆なことは私にはできなかった。
「あ・・・ありがとうございます。
そして、申し訳ありません・・・私が・・・私があの時ちゃんと占っていれば・・・」
「そんなことないさ。明咲ちゃんはよくやってくれたよ・・・まさか、ストーカーと怪異が同時にひとりの人間を狙ってるなんてね。僕の方こそ、その可能性に思い至らなくて申し訳ない」
油断した僕の失点だよ。
そう言って、にこりと笑ってくださる。
なんて・・・なんて素晴らしい方なの。
もしも、『陰陽寮・理想の上司人気投票』なるものがあれば、私は必ず貴方様に100万の票をお入れします!!
目が潤み、きゅううんと胸が鳴る。
それほどまでにその笑顔は素敵だった。
「さ、とにかくまずは橋本さんのところに行こう。場合によっては僕が結界を張るよ」
そう言って、彼の部屋まで上がったのだが、
「そんな・・・!」
「出て行ってしまったみたいだね」
呼び鈴を鳴らしても出ないことから、九条様が式神を使って外から覗いたところ、部屋の中がいつの間にかもぬけの殻になっているということが分かった。
「私、ずっとエントランスの前にいたのに」
「いや、このマンション、自転車で出る時は裏から出れるみたいだ。おそらくそっちから出て行ったんだろうね・・・」
「どうしよう・・・」
「九条様!!」
「明咲ちゃん!」
果たして、あれから怪異は現れることなく、九条様が到着した。タクシーを飛ばしてきてくれたようだったが、それでもたっぷり30分以上はかかった計算だ。その間、気を張り詰めて周囲に目を光らせていた私は、九条様の顔を見るなり緊張の糸が切れてしまい、それこそ糸の切れたマリオネットのようにぺたんとお尻から地面に崩れ落ちてしまった。
「九条様・・・怪異が・・・」
「うん、聞いたよ・・・さ、立てるかい?」
そっと手を差し伸べてくれる。優しいお顔。
その顔を見ただけで、私の苦労は全て報われた・・・そんな気がした。
遠慮がちに手を触れると、ぐいっと力強く掴んでくれる。
そのままふわりと私の身体は軽々と持ち上げられた。本当はその勢いで抱きついてしまいたいと思ったが、もちろん、そんな大胆なことは私にはできなかった。
「あ・・・ありがとうございます。
そして、申し訳ありません・・・私が・・・私があの時ちゃんと占っていれば・・・」
「そんなことないさ。明咲ちゃんはよくやってくれたよ・・・まさか、ストーカーと怪異が同時にひとりの人間を狙ってるなんてね。僕の方こそ、その可能性に思い至らなくて申し訳ない」
油断した僕の失点だよ。
そう言って、にこりと笑ってくださる。
なんて・・・なんて素晴らしい方なの。
もしも、『陰陽寮・理想の上司人気投票』なるものがあれば、私は必ず貴方様に100万の票をお入れします!!
目が潤み、きゅううんと胸が鳴る。
それほどまでにその笑顔は素敵だった。
「さ、とにかくまずは橋本さんのところに行こう。場合によっては僕が結界を張るよ」
そう言って、彼の部屋まで上がったのだが、
「そんな・・・!」
「出て行ってしまったみたいだね」
呼び鈴を鳴らしても出ないことから、九条様が式神を使って外から覗いたところ、部屋の中がいつの間にかもぬけの殻になっているということが分かった。
「私、ずっとエントランスの前にいたのに」
「いや、このマンション、自転車で出る時は裏から出れるみたいだ。おそらくそっちから出て行ったんだろうね・・・」
「どうしよう・・・」

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