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天狐あやかし秘譚
第106章 形勢逆転(けいせいぎゃくてん)
☆☆☆
ピンポーン、ピンポーン、ピンポン、ピンポン
急いでいるあまり、呼び鈴を連打してしまう。
「ああ!うるさいなぁ!」
私の顔をドアホンのカメラで確かめたのだろう。橋本が苛立たしげな声を上げながら、それでも扉を開いてくれた。
「なんだよ、一体!」
Tシャツにハーフパンツというラフな格好だ。どうやら橋本は今日、休暇を取っていたらしい。すっかりくつろぎモードだった。
「橋本さん!大変です。怪異は別にいたんです」
とにかく、まずは本人にきちんと事態を知らせて、防衛策を取ってもらう。それが私の考えた次の策だった。
しかし、これは見事に裏目に出てしまうことになる。
はあ、と橋本が苛立たしげにため息を付く。
「ありゃあ、黒咲の仕業ってことでケリが付いたんだろ?もううんざりなんだよ!それとも何か?本当は怪異がいるからお祓い料を払えってか?」
おそらく橋本はこの数週間でだいぶ鬱憤が溜まっていたのだと思われる。そして、追い打ちのように紗倉が自分に未だ偏執的な執着をしていることを警察から知らされていたのだ。今日休んだのだって、そのストレスのせいかもしれない。そんな状態の人に、ストレートに事実を告げたのはあまりにも愚策に過ぎた。
「とにかく帰れよ!帰らねえと警察呼ぶぞ!」
もう一度説明をしようとしたが、ぐっと私は言葉を飲み込んだ。ここで言い争っても仕方がないと考えたからだ。
「わ・・・分かりました。・・・でも、せめて、部屋から出ないようにしてください。それから、御札を・・・九条様がお渡しした御札・・・あれを持って・・・」
「ああ!もう、勘弁してくれよ!」
バタン!
言葉の途中で、それを遮るようにして扉を閉められてしまう。時計をちらりと見る。
九条様が到着するまで、後どのくらいあるのだろう?それまでここを守りきらないと・・・。
私はマンションのエントランスから外に出て、周囲を油断なく見渡した。右を見ても左を見ても、人通りがなく、ただただ夕日の落とす光が淀んだオレンジ色の光となってわだかまっているのみだった。
ピンポーン、ピンポーン、ピンポン、ピンポン
急いでいるあまり、呼び鈴を連打してしまう。
「ああ!うるさいなぁ!」
私の顔をドアホンのカメラで確かめたのだろう。橋本が苛立たしげな声を上げながら、それでも扉を開いてくれた。
「なんだよ、一体!」
Tシャツにハーフパンツというラフな格好だ。どうやら橋本は今日、休暇を取っていたらしい。すっかりくつろぎモードだった。
「橋本さん!大変です。怪異は別にいたんです」
とにかく、まずは本人にきちんと事態を知らせて、防衛策を取ってもらう。それが私の考えた次の策だった。
しかし、これは見事に裏目に出てしまうことになる。
はあ、と橋本が苛立たしげにため息を付く。
「ありゃあ、黒咲の仕業ってことでケリが付いたんだろ?もううんざりなんだよ!それとも何か?本当は怪異がいるからお祓い料を払えってか?」
おそらく橋本はこの数週間でだいぶ鬱憤が溜まっていたのだと思われる。そして、追い打ちのように紗倉が自分に未だ偏執的な執着をしていることを警察から知らされていたのだ。今日休んだのだって、そのストレスのせいかもしれない。そんな状態の人に、ストレートに事実を告げたのはあまりにも愚策に過ぎた。
「とにかく帰れよ!帰らねえと警察呼ぶぞ!」
もう一度説明をしようとしたが、ぐっと私は言葉を飲み込んだ。ここで言い争っても仕方がないと考えたからだ。
「わ・・・分かりました。・・・でも、せめて、部屋から出ないようにしてください。それから、御札を・・・九条様がお渡しした御札・・・あれを持って・・・」
「ああ!もう、勘弁してくれよ!」
バタン!
言葉の途中で、それを遮るようにして扉を閉められてしまう。時計をちらりと見る。
九条様が到着するまで、後どのくらいあるのだろう?それまでここを守りきらないと・・・。
私はマンションのエントランスから外に出て、周囲を油断なく見渡した。右を見ても左を見ても、人通りがなく、ただただ夕日の落とす光が淀んだオレンジ色の光となってわだかまっているのみだった。

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