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天狐あやかし秘譚
第78章 怪力乱神(かいりきらんしん)
奇妙な吠え声をあげた雷獣の牙が九条の喉元に迫ろうとした時、それを横からかすめる影があった。

影は九条の左方、3メートルほどの地点で着地すると、ポイと口に咥えた雷獣を吐き出すように投げ捨てる。喉笛を噛み切られた雷獣はそのまま闇の中に霧消した。

ー白狼・・・

影の正体は、左前の式神『神白狼』だった。大型犬ほどの大きさの凛とした姿勢で立つ白毛の狼は攻撃力と美しさを兼ね備えた左前らしい式神だった。どうやら、隙を見て勧請が出来ていたらしい。

「ありがとうございます!」
左前の方を見ずに、礼を言う。神白狼は素早く駆け回り、鎌鼬や雷獣を次々と倒していく。それだけでも九条の負担は大分減った。

とは言え、状況が悪いのは間違いない。
九条自身も式神を呼ぶことはできるだろうが、彼の式神『白鷺姫』は主として探査や防御に特化しているため、今、呼び出したとしてもあまり効果的ではないと思われる。

ージリ貧なのは変わらない・・・か!

しかし、その時、九条の背後で声が上がった。
「整ったのです!」

声の主は土門だった。緊急事態だと言うのに、妙に明るい声である。
「なんじゃあ!土門さん、作戦できたのか!?」
「はい!整いましたよぉ!
 九条さんは反閇(へんばい)を!左前さんと私を囲んでください!
 左前さん!水の檻で麒麟を囲んで!」
「んなこと言ったって!麒麟は土気だ!水の檻なんぞ大して効果は!」
「いいのです!私を信じるのですっ!!」

なんだかよくわからないが、土門の探知力は確かに陰陽寮随一だ。その土門が言うのだから、と二人はそれぞれ指示に従った。

反閇とは邪気を払う特殊な歩法を含む儀式のことである。それを行うことで、凶事を吉事に変換したり、妖魅の類を払ったりする効果がある。それは、もともと結界や邪気払いを専門とする祭部衆にとっては必修科目のひとつであり、当然、九条も反閇法は修めていた。

左前が水公結界の呪言を唱える中、九条が北斗七星に二星を加えた九星の配置に沿って歩を進めつつ、呪言を奏上する。
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