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天狐あやかし秘譚
第78章 怪力乱神(かいりきらんしん)
ーだとしたらあの麒麟も、一回何らかの方法で消滅させれば・・・

とはいえ、攻撃が全く通らない。左前も自分も『小物』たちの処理で手一杯だ。そしてここで手を抜けば、すぐさま幻獣たちが他の陰陽師を襲いに行ってしまうので麒麟攻略に力を注ぐことすらできないのだ。

ーせめて、土門さんが機能すれば!!

そう思って、ちょうど自分と左前の真ん中にいる土門の様子をちらりと伺う。土門は先ほどから、麒麟を熱い視線で見つめてブツブツと何事か呟いている。

土門は珍しい術式や現象、幻獣の類に目がない。そのマニアぶりは陰陽寮中に知れ渡っている。

ーそれにしても、今、そうならなくても!!

目をキラキラさせながら麒麟の様子を舐めるように見ている土門に対して、位階が上とは言え、苛立ちを隠せない。左前も『今やってる』と言っていたが、一体何をやってるのか・・・と、こちらに対しても腹が立っていた。

ビシ!と目の前に迫る猫又を『歳刑鞭』で打ち据える。ギャン!と一声鳴くと尾が二つに別れた異形の猫は空気に溶けるように消滅した。しかし、消滅したそばからまた、新しく鎌鼬と雷獣、大柄な狼のような妖怪、『山伏狼』が襲いかかる。

「切りが無い!」

水の鞭を振りかざし、九条が再び眼前に襲いかかる敵を打ち払おうとした時、ドゴン、という大音響とともに、地面が大きく揺れた。

「な!?」

その揺れでバランスを崩し、鞭の狙いがそれてしまう。鎌鼬と山伏狼の鼻先をかすめることには成功したが、雷獣は鞭の間をすり抜けてこちらに迫ってきてしまう。

ーしまった!雷獣が!

九条の歳刑鞭は、その元となる金鞭の先につけられた宝玉の呪力により生み出されており、宝玉は鞭を作ると同時に身体を薄く守る結界も張る。なので、少し位のダメージは霧散させることができるのだが、今回は相手が悪い。雷獣だ。

雷獣の属性は「木気」、歳刑鞭の使う「水気」とは相生関係にある。つまり、水の術はただでさえ雷獣の攻撃を妨げるのに効果が薄いのだ。そんなことを言わなくても、雷に水だ。相性が悪いのは目に見えている。

雷獣が牙を向き爪を光らせ襲いかかってくる。その爪に、パチリと紫電が弾けていた。あの牙や爪が身体まで届いたら、多分ただでは済まない。

「ぐっ!」
金鞭を引き、鞭を手元に戻そうとするが・・・

ーダメだ!間に合わない!
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