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天狐あやかし秘譚
第76章 人面獣心(じんめんじゅうしん)
ーもしかして、これは殺されるどころか、報奨なども・・・?

「そこの閨に僕の喰い残しがある。捨てるなり、なんなり、お前に処理は任せるよ」

そう言い残すと、緋紅は閨の対の間、ひとりで執務や休息を取る部屋に引っ込んでしまった。

ーなんだ・・・。

従者は顔を伏せたまま、落胆した。結局はボロボロになった女の後片付けをしろということか、と。緋紅が衾を閉じると、やれやれと立ち上がり、閨に近づいていった。

緋紅が求めた『供物』は、性的に弄ばれたあと、憤死するか生きた屍のようになってしまうのが常だった。稀に、どういう原理かわからないが、極端に老いて衰弱していることもある。ただ、どちらにせよ、そこにいるのは役立たずになった抜け殻のような女には違いなかった。

はあ・・・ため息をつきながら閨の衾を開く。
やれやれ、今日は、狂っているのか?それとも、死にぞこないか?そんな思いだった。

しかし、閨を目にした従者は目を見張った。
そこには、一糸まとわぬ姿で若い女が眠りについていたのだ。限界まで凌辱されて狂っているわけでもなければ、皮膚がかさかさになり老女のように憔悴しているわけでもない。

ーまさか!
 喰い『残し』というのは、こういうことか?!

やはりこれは褒美だったのかと、いやらしい笑みがこぼれる。『好きにしろ』と言ったよな・・・と、スケベ心がムクムクと湧いてくる。

一瞬、ここで犯したらまずいだろうか?お館様が帰ってきたら、とも思ったが、対の間に入った緋紅が数時間は出てこないことはよく知られていることなので、大丈夫だろうと思い直す。

「へっへっへ・・・こんな喰い残しなら大歓迎だ・・・」
シュルリと自らの着物の帯を解く。これからの狂宴を予想して滾った逸物が下着を押し上げ、早くも先走りのシミを作っていた。

「悪く思うなよ・・・ミオ・・・」

ミオの真っ白い太ももに、いやらしく舌を這わせ、従者はその身体を思う存分蹂躙するべく、のしかかっていった。
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