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天狐あやかし秘譚
第76章 人面獣心(じんめんじゅうしん)

あ・・・これ・・・
不覚にも、キュンと感じるものがあった。
こんな官能的なキスをしたことなど、今までなかった。
息継ぎのために唇を離すと、「まだだ」と緋紅が声を上げる。なので、もう一度、そのうち、ぐいと左手で抱き寄せられて、更に深い口づけを交わすようになった。
裸体の胸が彼に押し付けられ、背中をゆっくりとさすられる。それはなにかゾクリとした心地よさをミオに感じさせた。
ー私・・・感じているの?
こんな異常な状況で、自分が性的に興奮しているということにミオは戸惑いを覚えた。
しばらく、深いキスを交わし合うと、緋紅が服を脱がせるように言ってきた。
緋紅が着ている服はよく見るとあちこちが汚れており、更に傷は右腕ばかりではなかった。身体のあちこちに擦り傷や打撲の跡がある。それに触れると顔をしかめるところをみると、まだ随分痛むようだった。
「・・・お館・・・様・・・」
ミオは他の従者の呼び方に倣ってみた。この状態を放置しておいていいとはとても思えなかった。
「傷の手当をした方が・・・」
尋ねてみたが、緋紅の返事は「構うな」とそっけないものだった。
服を脱がせろと指示されたので、なるべく傷に触れないように服を脱がす。それでも、一度だけ袖を抜くときに服の生地が触れてしまったようで、顔をしかめていた。緋紅が顔をしかめた瞬間、ミオの脳裏に『制裁』という言葉がよぎったが、特に何も言われなかった。
シャツとパンツを脱がせると、緋紅は全裸のまま荒い息を漏らし、横になった。
「クソ、思ったより・・・」
緋紅が言いかけて言葉を切る。『思ったより』何だというのだろう。ミオは右半身が血まみれの緋紅を前に、全裸のままどうしていいかわからなくなってしまった。
「失礼します」
こんなことをしてもいいのだろうかと思いながら、それでもなにかせずにはいられず、額に手を当ててみた。手に感じた熱量は、病人のそれを感じさせる。
ー大分・・・熱が・・・
熱は40度を超えているのではないかと思われた。
「従者の方を呼んでまいりましょうか?」
自分でどうにかできるレベルではないと思えた。
「行くな・・・」
不覚にも、キュンと感じるものがあった。
こんな官能的なキスをしたことなど、今までなかった。
息継ぎのために唇を離すと、「まだだ」と緋紅が声を上げる。なので、もう一度、そのうち、ぐいと左手で抱き寄せられて、更に深い口づけを交わすようになった。
裸体の胸が彼に押し付けられ、背中をゆっくりとさすられる。それはなにかゾクリとした心地よさをミオに感じさせた。
ー私・・・感じているの?
こんな異常な状況で、自分が性的に興奮しているということにミオは戸惑いを覚えた。
しばらく、深いキスを交わし合うと、緋紅が服を脱がせるように言ってきた。
緋紅が着ている服はよく見るとあちこちが汚れており、更に傷は右腕ばかりではなかった。身体のあちこちに擦り傷や打撲の跡がある。それに触れると顔をしかめるところをみると、まだ随分痛むようだった。
「・・・お館・・・様・・・」
ミオは他の従者の呼び方に倣ってみた。この状態を放置しておいていいとはとても思えなかった。
「傷の手当をした方が・・・」
尋ねてみたが、緋紅の返事は「構うな」とそっけないものだった。
服を脱がせろと指示されたので、なるべく傷に触れないように服を脱がす。それでも、一度だけ袖を抜くときに服の生地が触れてしまったようで、顔をしかめていた。緋紅が顔をしかめた瞬間、ミオの脳裏に『制裁』という言葉がよぎったが、特に何も言われなかった。
シャツとパンツを脱がせると、緋紅は全裸のまま荒い息を漏らし、横になった。
「クソ、思ったより・・・」
緋紅が言いかけて言葉を切る。『思ったより』何だというのだろう。ミオは右半身が血まみれの緋紅を前に、全裸のままどうしていいかわからなくなってしまった。
「失礼します」
こんなことをしてもいいのだろうかと思いながら、それでもなにかせずにはいられず、額に手を当ててみた。手に感じた熱量は、病人のそれを感じさせる。
ー大分・・・熱が・・・
熱は40度を超えているのではないかと思われた。
「従者の方を呼んでまいりましょうか?」
自分でどうにかできるレベルではないと思えた。
「行くな・・・」

