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天狐あやかし秘譚
第75章 生離死絶(せいりしぜつ)

「お館様・・・供物にございます」
「早くしろ!」
つい、声を荒げる。
この屋敷にあって、緋紅は常に絶対王者だった。その緋紅がこれほど声を荒げることは珍しいことである。襖の向こう、屋敷の従者に緊張が走るのが感じられた。
「お納めください」
衾が開く。そこには、後ろ手に荒縄で縛り上げられた全裸の女性が座らされ、頭を垂れていた。女性の口には手ぬぐいが噛ませてあり、余計な声を出すことができないようにされていた。目には畏れの色をたたえている。ここで自分に待っている運命については、すでに悟っていた。
緋紅は女の姿を見る。滑らかな肌。きれいな健康そうな黒髪。身体を起こさせると、おそらくは20代前半だろう、丁度良い具合に熟れた女の体をしていた。
ー早く・・・喰わねば・・・
「来い・・・」
緋紅は言う。猿轡を噛まされた女の目に浮かんだ絶望の色は、彼の嗜虐心を満足させ、心の痛みを少しだけ、和らげていった。
「早くしろ!」
つい、声を荒げる。
この屋敷にあって、緋紅は常に絶対王者だった。その緋紅がこれほど声を荒げることは珍しいことである。襖の向こう、屋敷の従者に緊張が走るのが感じられた。
「お納めください」
衾が開く。そこには、後ろ手に荒縄で縛り上げられた全裸の女性が座らされ、頭を垂れていた。女性の口には手ぬぐいが噛ませてあり、余計な声を出すことができないようにされていた。目には畏れの色をたたえている。ここで自分に待っている運命については、すでに悟っていた。
緋紅は女の姿を見る。滑らかな肌。きれいな健康そうな黒髪。身体を起こさせると、おそらくは20代前半だろう、丁度良い具合に熟れた女の体をしていた。
ー早く・・・喰わねば・・・
「来い・・・」
緋紅は言う。猿轡を噛まされた女の目に浮かんだ絶望の色は、彼の嗜虐心を満足させ、心の痛みを少しだけ、和らげていった。

