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淫夢売ります
第55章 斜陽の楽園:壊れる世界
☆☆☆
ぱちり・・・

目が開く。一瞬、自分がどこにいるかまたわからなくなる。

私・・・どこに?
寝ている?横になって・・・?

目の焦点が合ってくると、そこに見えたのは見知った天井だった。右手にはベージュのカーテンが引かれている。その向こうから朝日だろうか、柔らかな光が透き通って来ており、部屋を淡く照らしていた。

私の部屋・・・

やっと頭がはっきりしてきた。ゆっくりと身体を起こす。白い天井、右手のベッドサイドには引き出し。その上に窓・・・チュンチュンと鳥のさえずりも聞こえてきていた。

夢・・・だったの?

ベッドサイドの引き出しの上に置かれたデジタル時計を見ると、『月曜日』『午前6:12』となっていた。

少し目覚まし時計をセットした時間には早いけれども、もう起きる時間だったのだと分かる。

はっと気づいて枕の下に手を伸ばすと、そこに固いカードの感覚がある。引っ張り出すと、『夕焼けの丘陵に座る女性の図案』・・・アヴァロンのカードだった。

これ・・・どこで手に入れたんだっけ?

夢と現実が交錯している。記憶を手繰り寄せようとすると、同時にいくつもの映像が頭を過る。

笑顔でカードを差し出してくる彰吾の顔
 ポケットにいつの間にか入っていたカード
部屋の引き出しにカードをしまう自分

そして・・・

古めかしい大きな木造りの扉・・・

ツキン、と頭痛がする。

「痛っ・・・」

私は眉間を手で押さえる。とにかく・・・どういう経緯か、すぐに思い出せないけれども、夢の中でこのカードが私を救ってくれたのは確かだ。そして、今もこのカードをぎゅっと握りしめているとほんのり温かい感じがしてくる。余計なことを考えなくて済むような、頭の中がスッキリするような・・・例えて言えばそんな感じだ。

「あなた・・・本当にお守りなのね」

そう言うと、私は胸元にアヴァロンのカードを引き寄せて、しっかりと抱きしめた。

そうだ・・・こんな素敵なお守りだ。きっと彰吾にもらったっていうのが現実で、後が夢なんだ。今度、彰吾に会ったら聞いてみよう。

それで、きっと万事解決だ。

そして、アヴァロンのカードのお陰か、頭痛の方もいつしか治まっていた。今日は月曜日・・・現実に向き合わなければならない。

私は気持ちを切り替えて朝の準備を始めるべく、ベッドから降り立った。
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