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淫夢売ります
第34章 仮面の夜会:ヴィサージュ ニュ
☆☆☆
「ふふふ・・・皆さん、あんなに蕩けたお顔になっちゃって・・・」

ここは夢占モルフェ。例の黒いクロスが張ってあるテーブルを前に、三枚のカードをユメノが弄んでいる。

時間は深夜、というより未明に近い。
「パーティ・・・もうかれこれ6時間くらい?さすがの私もお腹いっぱいね」

ユメノが三枚のカードをテーブルに並べる。裏が赤、表はそれぞれ・・・

『仮面を付けた女性に傅く男性たち』
『バックからたくましい男に犯されるうさぎの仮面を付けた女性』
『縛り上げられ男女に責められる仮面の女性』

だった。

「お三人共、気が合うんですね。バル・マスケの三部作、一気に売れるとは思わなかったわ・・・。互いに互いの痴態を見せあって、絡み合って・・・いいわねえ・・・。」

表面はきちんとした生活を送っていても、子どもがいても、夫がいても、その貞淑な仮面の下には、あんなに淫らな欲望を隠している。

ユメノには、一目あの三人を見たときから分かっていた。
日常に飽きていること、子どもや夫、仕事に疲弊していること。
まるで操り人形のような毎日、そこから解放されて、何もかも忘れて淫らに、交わりたいという・・・そんな気持ちがあることを。

ユメノのウィジャの目は人の欲望を見抜く。そして、見抜いた欲望は、アスモデウスのカードで増幅されて、淫夢になる。

「そこはみなさんが求めた性の楽園・・・存分に交わって、乱れて・・・堕ちてくださいね」

三人とも、今のあの快感に打ち震え、男の精液を注ぎ込まれて悦びに乱れる姿こそが、普段は隠していた『ヴィサージュ ニュ』(素顔)・・・なんでしょうねぇ・・・。

黒々とした闇をたたえたウィジャの目を三日月に歪ませて、いたく満足そうに、ユメノは笑っていた。
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