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The Bitch (ザ、ビッチ)
第8章 エピローグ  『わたしの好きに...』
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 「あ、あ…の………」

 また、しつこいその声に…
 苛立ちに任せたままに、振り向いた。

「………あっ………」
 
 息が…
 止まった―――

「…………」

「…………」

 高鳴る、鼓動―――

「あ…あのぉ……」

 そくさくと、逃げる様に歩き去る、その男の 後ろ姿の、その奥に…

 まっすぐ、こちらを見ていた―――

「あ……あの………」

 だが…

「……………」

 わたしは、すぐさま踵を返し、背中を向けて、カウンターに座る。

 ドキ、ドキ、ドキ…

 心臓が、壊れそう。

「……………」

 なぜ、いるの…

「あ、あのぉ、ゆ、悠…里…さ…ん……」

 なぜ、いつもの声なの…

「……………」

「あ、お、おひさ……し…ぶりっす………」

 変わらぬ、その声に…

「あ………え…………」

「ゆ、悠里さん……」

 いつもの、わたしが、顔を出す。

 いや、それは…

 せいいっぱいの、虚勢―――

「あ…え…だ、だれ…………」

 そして、ワイングラスを手に…

「あ…………」

 だが、グラスを持つ手が、震えてしまう…

「だ、だれ…で…し…た…っけ………」

 いや、声も。

「ふ…悠里さん…変わらないっすね……」

「……………」

 それは、きっと…

 わたしの…

 負け―――


「変わらな……あ、いや……」

「………」

「たまんない………っす………」

 完全に……負け―――


「と、隣…いいっすか………」

「………」

 いいも、悪いも…

「あ…同じモノを……」
 
 スタッフに告げる。

「……な、なん………」

 何で、いるの…

 いつから、いたの…

 訊けない。

「あ…じ、実は……」

「はい、お待ちどうさま、シャルドネです」

「悠里さんは、お代わりしますか?」

「…………」

 首を振る…

 お酒に、呑まれたくないから。

「じ、実は…え、映画館から、いました…」

「え……」

 負けではなく…

 引き分けかも―――



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