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第8章 エピローグ　　『わたしの好きに...』

　8

「ほらぁ、さぁ、舐めてぇ、舐めるのよ…」

　すると彼は…
「あぁ、ううっ」
　と喘ぐのだが、唇を開こうとはしないのだが…
　そして顔を背けたり、嫌がる素振りも見えないのだが…

　なぜか唇は開かない。

　だけど彼の目は、うっとりとした快感の揺らぎに濡れて光り…

　わたしが半ば強引に押し付けている、このストッキング脚の爪先を両手で包み込んだままに、決して払い避けるわけでもなく…
　
　いや、逆に…
　ゆっくりと、優しく、撫で、擦り、そして…

　指先を這わせながら、上へと…
　それはつまり、スカートの中へと忍ばせていく動きの愛撫をしてきたのだ。

　え、なに？…

　確かに、久しぶりなストッキング脚を優しく撫でられる愛撫的な彼の指先は、久しぶりの快感ともいえるのだが…
　今のわたしはこのストッキング脚の爪先を、舐め、しゃぶり、愛でて欲しいのだ。

　久しぶりのストッキングフェチの象徴ともいえる、そして、ストッキングラブ的に愛されたい…
　そのフェチな快感に包まれたいのだが…

「あぁ、はぁぁ、ほらぁ、舐めてよぉ」
　わたしはそんな欲求からの、焦れて、堪らない衝動から、そんなコトバで求め…
　右脚のストッキングの爪先を更に、グイグイと押し付けてしまう。

　そしてその反動から、反対の左脚のヒールの爪先で比例するかのように、固く勃ち、脈打つ彼の股間の中心をグリグリと更に強く擦っていく…

「あっ、うっ、んっ」
　すると、彼は、その股間のヒールの擦りの快感からなのだろう…
　小刻みに震え、小さな喘ぎを漏らしてくる。

　そしてわたしはすかさずに、その喘ぎにより僅かに開いた唇の隙間に、グイッと、強引に…
　ストッキングの爪先をねじ込む……と。

　あっ、えっ…

　その瞬間、ほんの微かに、彼の顔が横に動いたのを感じた…
　いや、逸れた、ううん違う…逸らしたのだ。

　えっ………

　それは、その動きは…
　わたしのストッキングの爪先から…

　逃げた………ということ。

　逃げた……

　つまり、彼は…

　ストッキングフェチでは無い……ということ。


　ええ……あ……ぁ…………