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The Bitch (ザ、ビッチ)
第8章 エピローグ  『わたしの好きに...』
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「いや、あ、このバーの名前になんとなく惹かれてね…」
 すると、まるで観察するかの様な、わたしの一瞥に気づいたのであろう…
 男は、そう、静かに言ってきたのだ。

「え、あ、あぁ『Bitch (ビッチ)』に…」
 わたしはつい、そう返してしまう。

「うん、そう…このビッチというコトバにね…
 惹かれてね、あ、いや…

 魅かれたかな…」

 再び、そう静かな声音で応えてくる。

「あら、魅かれた…の?」

 Bitch 、ビッチ…
 元々の意味は『雌犬』
 だが、英語特有の俗語、つまり、スラング的には『意地悪な女、嫌な女』
 つまりはクソオンナ。
 こんな意味、使い方がある。

「あ、うん…魅かれたかな…」
 その彼はそう静かに呟き、わたしを見る。

「ふーん」
 わたしは頷き、そして彼を見る。

 ナンパなのかしら?……
 そう想いながら、もう一度、さりげなく観察していく。

 さりげないお洒落と、嫌みのない高級感のある身なり、雰囲気、落ち着き感…
 そして、優しさと穏やかさを表す目尻のシワ…
 決して嫌いなタイプではない。

 いや、ここ最近のわたし的には関わったことの無い類いの年齢層の男…大人のオトコ。

 なにせ、あの和哉は、一回りも年下で、しかも直接の関わりは無かったとはいえ…
 高校教師というわたしの過去を知っている、教え子に近い存在であった。

 どちらかといえば、あの…
 昔、さんざん惚れ抜いた男、オトコに近い、いや、年齢的にも、雰囲気も似ているかも。

 すると…
 久しぶりに、わたしの心がゆっくりと…
 まるで水面の小さな波紋の如くに…

 騒ついてきた…

「うん魅かれたかな…
 いったい、どんな素敵なBitch さんがいるのかな…ってね」
 と、穏やかな笑みを浮かべて呟く。

 その笑みには…
 嫌みやいやらしさも感じない。

 そしてわたしの心の中の波紋が…

 ゆっくりと、静かに、小さく、揺れはじめてくる。

「………………」
 わたしはジッと彼を見つめ、指先でカクテルグラスの淵を滑らせながら…

「こんな………ビッチよ…」
 
 と、囁いた。




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