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”She”
第1章 1
「おどろかせてごめんなさい」
僕は言った。

やっぱり、あんなふうにいきなりキスするなんて、僕はどうかしていた。

梨花さんは首をふって、ううん、と言って

「私こそ、逃げちゃってごめん」

とうつむいた。

「逃げるにきまってます、あんなふうにされたら。僕が悪かったです」

「ねえ、そんなにあやまらないで?」

見上げた梨花さんの目は悲しげで、どきりとした。

「そうですよね、僕は・・したいと思ってしました。梨花さんだから、思い切ってしたんです。キスしたことに後悔はしてないです」

僕は一気に言った。

「文哉くん、声大きい」

梨花さんがクスクス笑い出して、僕はホッとするやら恥ずかしいやらで、どうしたらいいかわからなくなった。本当は抱きしめてもう一度キスしたかった。

「今日はこれで・・またね」

梨花さんは恥ずかしそうに微笑むと、自転車に乗って行ってしまった。

お先に、でもなく、お疲れ様、でもなく、またね、と言った。

この続きは、また今度、と言われた気がした。


その2日後は梨花さんと同じシフトだった。

入店したらまず、クリーンチェックと言って、まっさきにトイレに入って汚れや乱れがないか確認するのが決まり。

「だれでもトイレ」のドアを開けようとしたそのとき、中からドアがひらいて、クリーンチェックを終えたらしい梨花さんがあらわれた。

はからずもいきなり至近距離で向かい合って、梨花さんがハッと飛び上がった。

その反応が可愛くて、僕は思わず、周囲の目がないことを確認して「だれでもトイレ」に梨花さんをそっと押し戻して自分も入って背後のドアを閉じた。

ぎゅうっと抱きしめた。
梨花さんの小さい身体は僕の中にすっぽり収まって、はっ・・と小さい吐息をこぼした。可愛い。それにいい匂いがした。

梨花さんは拒むこともなくじっと僕に抱かれてくれた。

それが嬉しくて、我慢できない。

「トイレでこんなことしてごめんなさい。見られないで済む場所がここしかなくて、でもどうしても、今すぐ2人だけになりたくて」

「そんなに言い訳しなくていいよ」

梨花さんがくすくす笑って、囁やいた。

「キスしてもいい?」

聞くと、梨花さんは僕を潤んだ目で見上げてからうなずいた。

可愛い!

そして僕は梨花さんに、二度目のキスをした。

嬉しくてたまらない。だけど、たまらなく苦しい。
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