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ママ活
第9章 《最終章》病める時も健やかなる時も、ママと
「…………」
何故、すぐ否定出来なかったのだ。
亜純を添い遂げたいほど好きだったからか。…………
「困らせるつもりじゃなかった、ごめんね」
「いいえ」
佐和子の腕が明咲を抱いた。
女の匂いを感じないのは、彼女に他意がないからか。
この抱擁こそ、魔性だ。
「明咲には、愛されて当然の権利がある。生きていて当然の」
「佐和子、さん……」
「求めることに、罪なんて感じちゃいけない」
「そんな、こと、今更……」
今更、そんな言葉を向けないで。大切に想うような素振り、見せないで。
明咲は恨めしさを飲み込む。
きっと佐和子は知っていた。気付いていた。
やり逃げされて出来た子供。母親になる気なんてなかった。
それが、明咲の物心ついた時分から綺美果に刻みつけられていた、彼女の怨言だった。いっそ悪意でも向けられていれば、明咲は償えた気にでもなれていたろう。だが彼女にとって、娘という存在は、ただそこにいる異物でしかなかったのだ。
自身の命が、一人の女の不幸の上に始まった。
自覚するほど、明咲にとって、愛は身の丈に合わないものになった。佐和子に逢って、彼女と過ごして、初めて無償の欲望を向けられて得る安らぎを知った。
佐和子に生かされた。
それは、彼女が借金から救ってくれたからだけではない。
彼女の笑顔が、明咲に自身を許させた。

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