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ママ活
第9章 《最終章》病める時も健やかなる時も、ママと
店の裏手に出ると、開口一番、佐和子が言った。
「亜純と別れることになった」
まるで天気の話をしている口ぶりだ。
佳歩の前で、わざわざ明咲を連れ出したのだ。用があるのは分かっていたが、これは想定外だった。
明咲が佐和子とあと腐れなく別れられたのには、亜純の干渉があったからだ。
満了していた契約とはいえ、明咲が佐和子に破格の対価を得ていたのには変わりない。そのことに亜純が触れたのが、二人で浴室に入った時だったという。
「亜純も、明咲を愛していたんでしょう。貴女を解放して、自分を所有物にしろと言ってきたくらいだから」
「……後日、聞いた時は揺れました。だったら私は佐和子さんと別れるべきではなかったと」
だが、佐和子は二人のどちらの申し出も退けた。
亜純との関係は変えたくない。そして明咲は、いつまでも幸せの食わず嫌いを続けるべきではない、というのが彼女の理屈だった。
「明咲って、音楽配信サイトは見ないの?」
佐和子の唐突な質問に、明咲は理解が追いつかないまま「最近は」とだけ返す。
聞けば、最近、二人は自分達が知り合うきっかけとなった類の懇親会に顔を出したらしい。仕事を離れたプライベートでの冷やかしで、ゆうのように遊べる女がいればちょっかいを出そうというのが目的だったが、そこで亜純に声をかけてきた人物がいた。彼女がライブハウスで歌っていた頃、熱心に応援していたファンの一人で、最近、先代の音楽制作会社を引き継いだという若手社長だった。

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