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ママ活
第9章 《最終章》病める時も健やかなる時も、ママと


「佐和子さん」


 同席の社員らが雇用主に溢れんばかりの愛想を向ける中、当の佐和子は適当に返し、明咲らの手元を一瞥した。


「大丈夫よ、小川さん。貴女が泥酔したって、明咲は飲まされても潰れないから」

「社長……私、酔ってません」

「意地張らないの。本当なら、私が、明咲の膝枕で介抱される立場だったのに」


 ぱっちりとした目に潤沢を浮かべた佳歩の顔が、明咲と佐和子へ交互に向く。

 佐和子にただ睨みを利かせる佳歩。
 過去とはいえ、泣いて怒って当然だ。だのに彼女は取り返しのつかない真偽ははっきりさせず、自身の不安も否定する。


 ややあって、社員達との歓談を終えた佐和子が、明咲の肩に手を置いた。

 少し来て、と続ける彼女に、明咲は躊躇う。

 すると今度は、綺美果の腕が伸びてきた。

 娘を立たせて、代わりに着席する母親。

 媚びないのに人たらしを絵に描いたような美女の胸に、明咲の背中がうずまった。


「後ろめたいことがないなら、行ってこられるでしょう。佳歩ちゃんは、私が見てる」

「綺美ちゃーんっ。それって、オレ達が小川さんをいじめてそうってことですか?!」

「貴方達、若い子好きでしょ?」


 情けない声を上げる中堅社員らに秋波を返して、綺美果がカクテルグラスを取った。
 喉を鳴らして飲み干す彼女に、佳歩が遠慮がちな目を向けた。


「それ、明咲ちゃんの飲みかけですけど」

「貴女のももらうわ、でなければ娘が貴女を心配して、雇用主に媚も売りに行けないみたいだから」


 佳歩から軽々グラスを奪って、綺美果が二杯目を煽る。
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