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ママ活
第9章 《最終章》病める時も健やかなる時も、ママと
* * * * * * *
佐和子と再会して、半年が経とうとしていた。
今年最後の週末の夜。
明咲達のいる会社近くのレストランでは、忘年会が開かれていた。
ついこの間まで猛暑で溶けそうになっていたのが、信じ難い。
「佳歩ちゃーんっ。顔、赤いじゃない」
背後から女の声がした。
手隙に腹を満たしながら忙しなく社員らに声をかけて回っている、佐和子ではない。
明咲が振り向くと、上機嫌なソプラノの主は、やはり綺美果だ。
彼女の秋波に似た眼差しが、娘の隣にいるほろ酔いの佳歩に向く。
「女は、お酒に飲まれちゃ格が下がる。飲ませるつもりでいなくちゃ」
「お母さ──…」
明咲が二人の間に身を乗り出しかけた時、テーブルを挟んだ向い側から声がかかった。
「綺美姉さん!」
同じ部署の社員の一人が、綺美果に砕けた笑顔を送っている。
彼女らが世間話を始めると、明咲はテーブルの下に手を伸ばして、佳歩の片手の指の隙間を埋めた。
「ごめんね。お母さんが」
心なしか肩がこわばっている。ただでさえ佳歩は、綺美果にポジティブな印象を持っていない。主な原因は明咲だが、男嫌いの彼女にとって、綺美果のような人間は未知の生命体に近いのだろう。
突然、今度はさっきより至近で女のささめきが聞こえた。
耳に声の主の息が触れて、条件反射的に声が出そうになったのをこらえる。

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