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ママ活
第9章 《最終章》病める時も健やかなる時も、ママと

* * * * * *

 改札を出たりなは、心臓がひっくり返るかと思った。
 自宅は反対方向で、プライベートで顔を合わせるほど親しくもない年長者が、自分を待っていたからだ。


「久美子さん?!」


 何でここに?私、まずいことしましたか?
 と、あらゆる可能性を口にしかけては飲み込んで、りなは自身の罪悪感を自覚する。

 久美子に何か見透かされている気持ちにさえなる。えっと、えっと、とまるで見知りの人間を倣った口の動きを繰り返す。

 そんなりなに、久美子が見かねた顔つきを見せた。

 彼女がスマートフォンの画面を向けてくると、LINEのトーク履歴が出ていた。


「あっ」

「そう。何事かと思うじゃない。お宅を訪ねても、まだ帰っていないとご両親が……」


 りな本人、送った覚えのないメッセージ。
 それを見て、久美子は、社内でも評判の悪い上司の下で働くりなが、とうとう世を儚んだのかと慌てたそうだ。

 何せりなは、限界だの今夜が最後だのと幼馴染に弱音をぶつけようとして、誤って久美子とのトーク画面を開いていた。誤解を招くのも当然だ。しかも彼女はタイミング悪く、ブラック企業で死に追いやられた人間のドキュメンタリー番組を観ていた最中だった。ほろ酔いだったのもあって、冷静さを欠いた彼女は、駆けつけてきてくれたという。
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