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ママ活
第9章 《最終章》病める時も健やかなる時も、ママと


「明咲ちゃん……」

「遅くなったね。シャワー、済ませて帰ろう」


 佳歩が頷く。

 彼女の目が、きらめきとは別の潤沢をこらえていた。

 明咲は、その先にある彼女の手をとる。


「後悔しない?」

「…………」

「小川ちゃんに隠してきたこと、まだまだあるよ」

「……うん」

「でももう、もし小川ちゃんが幻滅しても、お姉さまや佐和子さんに逃げたりしない」


 佳歩の目は見開いたまま、明咲を捉えている。

 折れそうに細い手首を指に包むようにして、引き寄せる。

 膝と膝が触れるほど近くにすり寄って、明咲は彼女の指先を唇で触れた。


「私の明日も明後日も、その先も、小川ちゃんのものにして」

「……っ」

「貴女を、愛させて」


 夢でも見ている顔になった佳歩の口が、開閉を繰り返す。

 幸せでおかしくなりそうだの、二つ返事より効果的なイエスはなかったかだの、初恋で生涯終えるだろうだの、それらの言葉を呟きながら、彼女は頷いていた。



 傷付いても、失くしても、良い。

 痛みを恐れる程度の愛なら、求めるだけの価値はない。
 だが苦しみも愛おしさによるものなら、無意味にならない。

 明咲の母親も、そうだったのか。

 ただ恋多き女だったというだけで、彼女も、何も恐れなくなれるような欲望を、愛と名付けていたのだろうか。
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