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ママ活
第9章 《最終章》病める時も健やかなる時も、ママと


「……明咲ちゃん」


 甘ったるい声を連れて、亜純とは異なる気配が、明咲を抱いた。

 嫌な予感に眩暈を覚える。
 夢なら覚めたいと願えるだけの数秒も置かず、視界が戻った。


「お、……がわ、ちゃん……」


 佳歩が、明咲の太ももに跨っていた。見るからに苦戦しながら、目隠しに続いて、彼女が手首の拘束を解いていく。カーディガンだけ羽織った彼女は、いつブラウスを脱ぎ捨てたのか。

 さっきまでここにいた亜純は、佐和子を跪かせていた。


「ごめん、小川ちゃん……」


 シーツを引き寄せてきて、明咲は二人の身体を覆う。

 佳歩は、佐和子と一線を超えたのだ。
 気のせいでないと分かるほど、明咲は彼女とも身体を重ねすぎた。

 亜純達のじゃれ合う姿が彼女の視界の端に触れるだけでも、清らかな雪を踏み汚すのに似たやるせなさに襲われるのに。


「ごめん……」


 佳歩の幻想を壊したくなかった。
 それが浅薄な自尊心に紐づく望みでも、少なくとも明咲は、彼女の見返りないまごころを仇で返したくない。


「小川ちゃ──…」


 ……ちゅ。


 重ねても重ね足りない謝罪を繰り返しかけた明咲の声を、佳歩のキスが封じた。

 心なしか湿った片手が、シーツの中で、明咲のそれを捕まえる。

 どちらからともなく舌が絡み合う。


「明咲ちゃん……好き……私の気持ち、許してくれるなら、何もいらない……」


 腰を浮かせた佳歩がシーツに片手をついて、明咲に覆い被さる姿勢をとった。

 深いキスが明咲の思考をとろかして、彼女の指が、敏感になった部分を探る。
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