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ママ活
第9章 《最終章》病める時も健やかなる時も、ママと
* * * * * * *
部屋を抜け出てきたりなは、やっとの思いで市街地を離れた。
すれ違っていく人間の多くが、束の間の解放に酩酊している。
酒臭い彼らの喧騒が、りなに巣食った醜い魔物の種に水をやる。
佐和子の出した、ひと晩という制限時間を離脱してきたのは、単純な理由だ。
熱くなった自分が馬鹿らしくなった。佐和子に文句をつけたところで、何も得られない。金銭的な取引なしで亜純が気に入っているのは明咲だ。意図せず本人にまで会って、りなはいよいよ虚しくなった。どうあっても、りなは亜純の心の中心に行けない。
凛とした佇まいに、どこか影を感じる明咲は、佳歩とは違う危うさがあった。狡猾な品位も備わっていた。
明咲にしてみれば、りななど眼中にもなかったのだろう。いくら身を隠していたからと言って、彼女のあざとさは見せつけだった。
綺麗な女は、色目を使って泣けば、愛されるとでも信じているのか。…………
亜純の顔を見て、明咲が泣きそうになったのは、何故か。
この世の果てにでも追いやられたみたいな顔で、彼女の胸に倒れ込んだ。
明咲に口づけた亜純は、ともすれば彼女の心を読みでもした顔をしていた。

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