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ママ活
第8章 推しのママに宣戦布告?!

 羨ましくはない。
 ただ、亜純の関心を買える佐和子の方が、りなより優位に思えてならない。
 感情は不可視だ。金は、目に見える。心は物理に敵わない。

 敵愾心が、裏目に出た。


「古賀佐和子を呼んでいただけますか?」


 受付事務員があからさまな警戒を見せた。

 りなは、自分が危険人物らしからぬ見た目だと思う。むしろ二十代半ばの女の中でも、おっとりしているように見られるタイプだ。

 佐和子との接触は、粘れば難しくないはずだった。筋書きもある。


「私、◯◯社の広報部の者です。企画の件で、社長にお話が……」

「アポはお取りになっていますか?」


 受付係はりなの名刺を瞥見すると、冊子に目を通し始めた。

 誤算だ。
 亜純の話していた佐和子は、自ら出向いて商談するし、業界人らの交流会にも積極的だ。ガードの固い方ではない。

 やはり喧嘩腰がまずかった。


 りなが意地になりかけた時、真後ろから別の女の声がした。


「あの」


 振り向くと、はっと目を瞠るほどの美人がいた。

 りなよりやや幼く見える彼女は、もしや明咲か?
 いかにも人好きのする顔は儚げで、愛嬌があって、それでいてあまりに端麗で、その目に映されるだけで恥ずかしくなる人間もいそうだ。嫌味のない化粧同様、身体の肉付きも無駄がなく、出るべき部分は出ているのに、しなやかで、引き締まっている。そのバランスが、着ているのがフリルやリボンで飾った洋服でも、あどけなさを軽減している。
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