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ママ活
第8章 推しのママに宣戦布告?!


「生まれ育った環境は、なかったことに出来ません。でも私は、全ての愛情が無意味だとは思えません」


 佐和子とてきっかけがどこかにあれば、期待を見出せていたはずだ。
 明咲も、愛を信じなかったとはいえ、失望したことはない。

 いつか綺美果を許すだろう。
 彼女の借金で明咲が失くしたのは、およそ二年という時間だ。それで彼女が娘の信頼を一生分失くすのも、不公平だ。


「本気で言ってる?私は、彼女にお給料を出すのも惜しいくらい、酷い人間と思ってる」

「母のお陰で、佐和子さんに逢えました」

「それは、そうだけれど」


 佐和子の指が、手持ち無沙汰に明咲にじゃれつく。

 明咲の母親は変わった。佐和子の母親は変わらないかも知れないが、彼女が所有物だとみなしてきた相手の本心も、変わった。

 もっとも、本人に押しつけるつもりはない。

 金や快楽を盲信して、幸福ではないと誰が決めた?

 ただ迷走している明咲が間違っているのかも知れない。
 精神的な繋がりを求めて、何も手に入れられなかった反面教師を、さんざん見てきた。


「愛かお金か、貴女には無縁の心配よ。明咲」


 明咲の首筋を佐和子の髪がくすぐった。
 彼女の柔らかな唇が、うなじの近くをじゃれる。


「たとえ今更、私との契約に何か思うところがあったとしても、貴女の選択ミスじゃない。貴女は、私に寄越すべきの慰謝料を時間で返しているだけなのだから」


 それは、佐和子が明咲を手放さないという無言の証明だ。そして選択権の否定。
 今以上の関係を望む権利も、明咲にはない。
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