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千一夜
第61章 第八夜 island 真相
 買わせるために手段は選ばない。事実少々、後は妄想で原稿を埋める(河田によると)。
 リーという人の出身大学がハーバードで河田は東大。記者は河田とリーだけでなく、出身大学まで出して二人を戦わせる。
 困ったっことだが、日本人対アメリカ人、東大対ハーバード、男対女に興味を抱く読者は結構いるのだ。記者はそれをわかっているからそういう戦いの構図を作る。
 二人のエリートの戦い、勝つのはどっちだ? そんな感じで。
「はぁ~」
 溜息が漏れた。
「どうした?」
「あなたが優秀なのはわかるわ、どんどん偉くなって欲しいとも思っている。でも週刊誌を賑わすような有名人にはなって欲しくない」
「僕は有名人じゃないよ」
「こんな記事を書かれて有名人じゃないなんて口が裂けても言ってほしくないわ。あなたは有名人よ」
「君は何が言いたいんだ?」
「M会のこと」
「M会ってMグループの奥様会のこと?」
「そう」
「出なくていいよ、○○〇はMグループじゃないんだから」
「出なくていいなら出ないわよ、でもそんなことできるわけないでしょ? 阿部社長夫人からのお誘いを断ることはできないわ。それに奥様が言ってたのよ。元々○○〇のCFOの椅子はM銀行出身者が座ることになっていたんだけど、○○〇生え抜きの取締役たちがあなたを選んだんでしょ。M銀行としてはおもしろくないわよね、だって○○〇の椅子にはあなたが座っているんだから」
「僕に辞めろと言っているのか?」
「あなたから仕事を取り上げるつもりはないわよ。ただ、目立たないでくれと言っているの」
「君の気持はわかる。僕だって目立とうと思っていない。でも記者に記事を書くなとは言えない」
「ねぇ、一つ訊いていいかしら」
「構わないけど」
「〇ニーグループって今でも日本の会社?」
「どうしてそんなことを訊くんだ?」
「財務の最高責任者がアメリカ人って変じゃない?」
「〇ニーグループの六割強が外国人株主なんだ。○○〇の外国人比率はおおよそ三割強。〇ニーグループの役員だって外国籍の人が多いはずだ」
「大丈夫なの?」
 日本を代表するような会社の極めて重要なポストに、外国人がいてもいいのか私は気になった。
「それは〇ニーさんの問題だ。僕には関係ない」
「私は河田良和の味方だから、がんばってね」
「頼もしい味方だ。○○〇を僕は必ず復活させる。見ててくれ」
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