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千一夜
第61章 第八夜 island 真相
「お兄ちゃん、大きくなったね」
 島袋周子(ちかこ)は良輔を見てそう言った。
「おばさん、今年もよろしくお願いします」
 良輔が我が家を代表してそう答えた。
「船は揺れなかったかい?」
「大丈夫です。パパもママもそして僕もへっちゃらです」
「良幸君は?」
「ちょっとビビってたかな」
 周子の質問は良輔が一人で引き受ける。
「お兄ちゃんの嘘つき」
 良幸の反撃。
「ビビってたじゃん」
「二人とも喧嘩しないの。喧嘩しに来たんじゃなのよ、わかった?」
「ごめなさい」
 二人が周子に頭を下げた。
「いいのよ。ここは良輔君と良幸君の家みたいなものだからね。遠慮なんかしないでね」
「ありがとうございます」
 兄の良輔が周子にそう言った。
「また今年も四人でお世話になります。どうぞよろしくお願いします」
 私がそう挨拶をすると、私たちの後ろから声が聞こえた。
「お待ちしてましたよ。この時期はこの小さな民宿も島も河田さんご一家の貸し切りになります。思う存分島を楽しんでください」
 声の主は、私たちを船で運んでくれた人物島袋剛造だ。
「良輔君、良幸君、部屋の準備はできてるわよ。その荷物を部屋に置いたら二人でお風呂に入りなさい」
 周子がそう言うと、二人は先を争って自分たちの部屋に上がって行った。部屋は二階、二段ベッドが備え付けられている部屋の広さは六畳くらいだ。テレビがない狭い部屋なのに、どういうわけか良輔も良幸もお気に入りなのだ。
「走っちゃダメでしょ」
 私は二人に注意をした。
「良輔君も良幸君も走っていいからね。ここは二人の家なんだからね。男の子は元気が一番だ。ははは」
 剛造はそう言って豪快に笑った。
「さぁ、河田さんも奥様もどうぞお上がりください。さぁ、どうぞどうぞ。お荷物は私が預かりますので」
 剛造は、二つの大きなキャリーバッグを私と河田から受け取った。
「失礼します」
 私と河田は島で一軒しかない民宿に上がった。
 リビングにはお茶の準備がされていた。私と河田は周子が淹れてくれたお茶を飲んだ。確かに美味しいが、何の変哲もない日本茶だった。
 リビングに剛造が入って来た。私たちの前に二人が座る。 
 正直に言う。私はこの二人が怖い。二人は歳を取らない。皺も増えなければ、腰も曲がってはいない。去年と同じ……いや一昨年と同じ、六年前と二人は変わっていない。
 


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