この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
千一夜
第61章 第八夜 island 真相
テラスに出ると、テーブルの上に料理が並べられているのが見えた。だが、三人の口は動いていない。どうやら河田と二人の子供は私を待っていたようだ。
「先に食べてていいのに」
「ママを待っていたんだよ。だって家族旅行なんだもん」
良輔がそう言った。
「それはお待たせしました」
「じぁあ食べようか」
私が椅子に腰かけると、河田がみんなにそう声を掛けた。
「ママ、朝食のときは勉強の話はNGです」
「良輔、誰にNGなんて言葉を教えてもらったの?」
教えたのが河田であることはわかっている。
「パパです」
「じゃあ良輔にお訊ねします。なぜ、朝食のときにお勉強の話はNGになるのでしょうか?」
「ママ、それはめちゃめちゃ簡単な質問だよ」
「どうして?」
「勉強の話をしながらご飯を食べても美味しくないからです」
「でも良輔はパパといつもスポーツの話をしながらご飯を食べているわよね? お勉強がダメでスポーツならいいというのはおかしくないですか?」
「なるほど」
そう言ったのは良輔ではなく河田だ。
「だって勉強は面白くないけど、サッカーとか野球は楽しそうだもん」
「どうしてお勉強は面白くないの?」
「ママの質問は鋭いな」
「あなた茶化さないで」
「ごめん」
河田が謝る。
「だって勉強は簡単すぎるんだもん」
「簡単?」
「簡単すぎて面白くないんだ」
保護者会に行ったとき、良輔の担任は確かにこう言った「勉強はしっかりされていますね。塾とか行かれているんですか?」と。河田は良輔が塾に行くことを許さない。
「そんなことを言っていると、どこかでわからなくなってしまうわよ」
「そのときはパパに相談します」
「ママじゃなくて?」
「うん~ん、ママは忙しそうだから」
「パパの方がママより忙しいのよ。それでも相談するのはパパなの?」
「良輔、そうなったときはパパだけじゃなくてママにも相談するんだ。わかったか?」
悔しいくらいいいタイミングで河田が口を挟む。
「了解です」
「今日はこうしましょ。お勉強の話もスポーツの話もなし。それでいいでしょ?」
プールサイドのパラソルに雨がぶつかる。その音はだんだん大きくなり、南の島に降る雨の匂いが濃くなっていった。
どういうわけか、私たちを待っている飛行機と船が魔物のように思えてきた。
「先に食べてていいのに」
「ママを待っていたんだよ。だって家族旅行なんだもん」
良輔がそう言った。
「それはお待たせしました」
「じぁあ食べようか」
私が椅子に腰かけると、河田がみんなにそう声を掛けた。
「ママ、朝食のときは勉強の話はNGです」
「良輔、誰にNGなんて言葉を教えてもらったの?」
教えたのが河田であることはわかっている。
「パパです」
「じゃあ良輔にお訊ねします。なぜ、朝食のときにお勉強の話はNGになるのでしょうか?」
「ママ、それはめちゃめちゃ簡単な質問だよ」
「どうして?」
「勉強の話をしながらご飯を食べても美味しくないからです」
「でも良輔はパパといつもスポーツの話をしながらご飯を食べているわよね? お勉強がダメでスポーツならいいというのはおかしくないですか?」
「なるほど」
そう言ったのは良輔ではなく河田だ。
「だって勉強は面白くないけど、サッカーとか野球は楽しそうだもん」
「どうしてお勉強は面白くないの?」
「ママの質問は鋭いな」
「あなた茶化さないで」
「ごめん」
河田が謝る。
「だって勉強は簡単すぎるんだもん」
「簡単?」
「簡単すぎて面白くないんだ」
保護者会に行ったとき、良輔の担任は確かにこう言った「勉強はしっかりされていますね。塾とか行かれているんですか?」と。河田は良輔が塾に行くことを許さない。
「そんなことを言っていると、どこかでわからなくなってしまうわよ」
「そのときはパパに相談します」
「ママじゃなくて?」
「うん~ん、ママは忙しそうだから」
「パパの方がママより忙しいのよ。それでも相談するのはパパなの?」
「良輔、そうなったときはパパだけじゃなくてママにも相談するんだ。わかったか?」
悔しいくらいいいタイミングで河田が口を挟む。
「了解です」
「今日はこうしましょ。お勉強の話もスポーツの話もなし。それでいいでしょ?」
プールサイドのパラソルに雨がぶつかる。その音はだんだん大きくなり、南の島に降る雨の匂いが濃くなっていった。
どういうわけか、私たちを待っている飛行機と船が魔物のように思えてきた。

作品検索
しおりをはさむ
姉妹サイトリンク 開く


