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千一夜
第61章 第八夜 island 真相
 若いと言われて気分を悪くする人間はいない(特に女は)。
 良輔にそう言われたことで、私の心の中に潜んでいた(いや、閉じ込めておいたと言った方がいいかもしれない)歪な形をしている真っ黒な塊から煙が立ち上っていくのを私は感じた。
「あなた子供が出来ても歳を取らないわね。何か特別な健康法でもあるの? あったら教えて欲しんだけど」
 二週間ほど前、我が家にやって来た聖子ママに私はそう言われた。
「麗子さん、ジムとか行ってるんですか? スタイルは抜群だし、二十代前半だと言っても疑う人なんていませんよ」
 池沢はそう言ったが、私はジムに行ったことはないし、マンションのプールで泳いだこともない。
「ねぇ、麗子さん、日に日に美人になっているんだけど、どうしたの?」
 加藤にそう訊ねられたとき、私はこう答えた「誰かに気を使う必要がなくなったからだと思う」と。
 ロサンゼルスドジャースには選手の奥様会があるそうだ(おそらく他球団でもそう言う集まりがあると思われる)。自動車会社○○〇は財閥系の企業ではない。ところが、○○〇のメインバンクであるM銀行は、グループを束ねるMグループ御三家の一社だ。当然○○〇はMグループに組み込まれる。
 Mグループにも“奥様会”がある。夫が○○〇のCFOなので私もその会に出なければいけない(はっきり言う。私はこの奥様会が大嫌いだ)。
 初めてこの奥様会に出席した日のことは忘れられない。金魚のふんのように○○〇の社長夫人の後についていた私に、その会のボス(女の世界にもボスはいる)が私にこう言った。
「あら、こちら河田さんの奥様? お若いわね、高校生かと思っちゃった」
 ボスがそう言うと、ボスを囲んでいた子分たちが一斉に笑った。
 それ以来、私はこの会の奥様方からそういう弄られ方をされる(島に行くのと同じくらいのストレスを感じる)。
 私が若いか若くないかは別として、私にもそう思う人間が三人いる。一人は河田だ。
 それを(河田が若いと)強く感じるときは……あのときだ。信じてもらえないかもしれないが、河田は子供を二人産んだ私の体を毎晩求めてくる。
 河田は決して手抜きをしない。たっぷり時間をかけて私をいたぶる。射精は今でも二回。出し終わった後も私の体をはなさずに私の体中を愛撫する。
 断言できる。河田は浮気をしたことがない。
 あと二人……、それは……。
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