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千一夜
第60章 第八夜 island その島について
「河田、確かお前、船を持っているんだよな?」
山崎が河田にそう訊ねた。
「ボートだ」
「ボートでも何でもいい。だったら河田ご自慢のボートでその島に行けばいいじゃん」
「無理だな」
「どうして?」
「僕のボートの航行区域は十五海里までだ。それに船着き場には島民の船だけが着岸できる決まりだ。つまり僕のボートを係留するスペースはないんだ。
「なんだよそれ」
「海をバカにするなよ。あの島は台風の通り道にある。台風が発生していなくても、気象予報で波の高さや風の強さをある程度予想はできるが、実際の海はそれより厳しい。船乗りは絶対に海をなめない」
「かっこいいな。つまり河田は船乗りなんだ。〇〇〇のCFO兼河田丸の船長さんなんだな」
「僕の船の名前は光星号だ」
「河田、お前が歌を歌うと加山雄三になるな。ははは」
「僕はあの人の足元にも及ばないよ」
「はぁ~いい時代になったな。河田が謙遜するなんて」
「バカにしてんのか」
「違いますよ。俺は驚いているんです。あの河田が」
「ふん」
「河田、一つ訊いていいか?」
何かを思い出したのか、山崎はそう切り出した。
「何が訊きたい?」
「WiFiも繋がらない島だよな? それにその島には漁船みたいな船で行くわけだ。河田が言ったようにそこは台風の通り道だ。天候が悪化して島に食料を運べなくなったらどうするんだよ。牛とか豚の世話なんかしてないんだろ。人間は食わなきゃ生きていけない」
山崎の疑問は私の疑問でもあった。もちろん私は河田からその疑問の答えを聞いている。
「島には商店がないんだ。船の乗り場近くに小さな小屋があって、その中に大きな冷蔵庫と冷凍庫がある。一週間分くらいの食料がその中に入っているそうだ。そしてその小屋には地下倉庫があって、万が一に備えて一月分の食料がそこに収められてるらしい。収められている食料は缶詰とかの保存食がほとんどだから、非常事態では美味しものは期待できないな」
「なるほどね。奥さんが言うように妙な島だよな」
山崎がそう言うと、河田の目が山崎ではなく私に向かってきた。
「どれくらい前かはしらないが、大昔、干潮になるとその島は隣の大きな島と繋がって歩いて行き来できたそうだ」
「ふん~ん、やっぱり不思議な島だよな。あっ、そうだ、今度池沢さん誘って俺もそこに行くわ」
「断る」
「何で?」
「島がお前たちを拒否するからだ」
山崎が河田にそう訊ねた。
「ボートだ」
「ボートでも何でもいい。だったら河田ご自慢のボートでその島に行けばいいじゃん」
「無理だな」
「どうして?」
「僕のボートの航行区域は十五海里までだ。それに船着き場には島民の船だけが着岸できる決まりだ。つまり僕のボートを係留するスペースはないんだ。
「なんだよそれ」
「海をバカにするなよ。あの島は台風の通り道にある。台風が発生していなくても、気象予報で波の高さや風の強さをある程度予想はできるが、実際の海はそれより厳しい。船乗りは絶対に海をなめない」
「かっこいいな。つまり河田は船乗りなんだ。〇〇〇のCFO兼河田丸の船長さんなんだな」
「僕の船の名前は光星号だ」
「河田、お前が歌を歌うと加山雄三になるな。ははは」
「僕はあの人の足元にも及ばないよ」
「はぁ~いい時代になったな。河田が謙遜するなんて」
「バカにしてんのか」
「違いますよ。俺は驚いているんです。あの河田が」
「ふん」
「河田、一つ訊いていいか?」
何かを思い出したのか、山崎はそう切り出した。
「何が訊きたい?」
「WiFiも繋がらない島だよな? それにその島には漁船みたいな船で行くわけだ。河田が言ったようにそこは台風の通り道だ。天候が悪化して島に食料を運べなくなったらどうするんだよ。牛とか豚の世話なんかしてないんだろ。人間は食わなきゃ生きていけない」
山崎の疑問は私の疑問でもあった。もちろん私は河田からその疑問の答えを聞いている。
「島には商店がないんだ。船の乗り場近くに小さな小屋があって、その中に大きな冷蔵庫と冷凍庫がある。一週間分くらいの食料がその中に入っているそうだ。そしてその小屋には地下倉庫があって、万が一に備えて一月分の食料がそこに収められてるらしい。収められている食料は缶詰とかの保存食がほとんどだから、非常事態では美味しものは期待できないな」
「なるほどね。奥さんが言うように妙な島だよな」
山崎がそう言うと、河田の目が山崎ではなく私に向かってきた。
「どれくらい前かはしらないが、大昔、干潮になるとその島は隣の大きな島と繋がって歩いて行き来できたそうだ」
「ふん~ん、やっぱり不思議な島だよな。あっ、そうだ、今度池沢さん誘って俺もそこに行くわ」
「断る」
「何で?」
「島がお前たちを拒否するからだ」

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