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千一夜
第60章 第八夜 island その島について
「良輔、今年の夏は北海道にしないか? 北海道は涼しいぞ。あっ、そうだ、今おじさんが住んでいるところでもいいな。温泉もあるし飯も美味い。遊園地は……まぁ探せばどこかにあるだろ」
山崎がそう言って良輔を説得した。私が山崎に何とか良輔の心を変えて欲しいと頼んでおいたのだ。
「遊園地なんて子供が行くとじゃん」
「良輔だって子供じゃないか?」
「子供は子供でも僕には冒険心があるんだよ。作られた遊具には興味なし。僕は自然の中で自然と一緒に遊ぶんだ」
「面倒な言葉よく知ってんな。それに良輔の話し方は河田そっくりだ」
山崎がそう言った。私も山崎と同じことを思っている。
「だって僕はパパの子供だもん」
「そうなんだけどさ、それじゃあママが可哀そうじゃないか? ママはその島には飽きたと言っているんだ。そりゃそうだよな、毎年行っているんだもん。そうそうだ良輔、こうしないか? 今年はママの行きたい北海道にする。そして来年は良輔の行きたい島にする。そうすればいじゃないか? これこそ究極の民主主義だよ」
「多数決で決まったの」
良輔が山崎に向かってそう言った。
「少数意見にも耳を貸してこそ民主国家だ」
山崎が粘る。
「少数意見てママの意見でしょ?」
「そうだ」
「ママの言うことならちゃんと聞いているよ。宿題は旅行の前に終わらせること。塾のテキストも終わらる。そして」
「良輔、塾のテキストって何だ?」
そう言ったのは山崎ではなく河田だ。
塾には行かさない。それは河田の強い希望であった。ただ、不安な私は知り合いに頼んで、塾のテキストを手に入れて良輔にさせていた。
「ママが……」
塾のテキストを使っているのは河田には言っていない。
「私が良輔にさせているんです」
「時間の無駄だ。学校の勉強で十分だ」
「公立の小学校の勉強だけじゃ東大には行けないのよ」
「僕は行ったけど」
「山崎さんはどうでした?」
「えっ? 俺? 俺はね、確か塾に通い始めたのは小学四年だったかな……」
急に話をふられて山崎は戸惑った。
「ほら、山崎さんだって塾に行ったのよ」
「とにかくそんなつまらない真似は止めさせてくれ。良輔に塾のテキストなんか必要ない」
「つまらない真似ってどういうこと?」
私は河田を睨んだ。
「河田、お前は家の中では傲慢なんだな。俺は奥さんの気持ちがよくわかる」
「ふん」
「何がふんよ」
山崎がそう言って良輔を説得した。私が山崎に何とか良輔の心を変えて欲しいと頼んでおいたのだ。
「遊園地なんて子供が行くとじゃん」
「良輔だって子供じゃないか?」
「子供は子供でも僕には冒険心があるんだよ。作られた遊具には興味なし。僕は自然の中で自然と一緒に遊ぶんだ」
「面倒な言葉よく知ってんな。それに良輔の話し方は河田そっくりだ」
山崎がそう言った。私も山崎と同じことを思っている。
「だって僕はパパの子供だもん」
「そうなんだけどさ、それじゃあママが可哀そうじゃないか? ママはその島には飽きたと言っているんだ。そりゃそうだよな、毎年行っているんだもん。そうそうだ良輔、こうしないか? 今年はママの行きたい北海道にする。そして来年は良輔の行きたい島にする。そうすればいじゃないか? これこそ究極の民主主義だよ」
「多数決で決まったの」
良輔が山崎に向かってそう言った。
「少数意見にも耳を貸してこそ民主国家だ」
山崎が粘る。
「少数意見てママの意見でしょ?」
「そうだ」
「ママの言うことならちゃんと聞いているよ。宿題は旅行の前に終わらせること。塾のテキストも終わらる。そして」
「良輔、塾のテキストって何だ?」
そう言ったのは山崎ではなく河田だ。
塾には行かさない。それは河田の強い希望であった。ただ、不安な私は知り合いに頼んで、塾のテキストを手に入れて良輔にさせていた。
「ママが……」
塾のテキストを使っているのは河田には言っていない。
「私が良輔にさせているんです」
「時間の無駄だ。学校の勉強で十分だ」
「公立の小学校の勉強だけじゃ東大には行けないのよ」
「僕は行ったけど」
「山崎さんはどうでした?」
「えっ? 俺? 俺はね、確か塾に通い始めたのは小学四年だったかな……」
急に話をふられて山崎は戸惑った。
「ほら、山崎さんだって塾に行ったのよ」
「とにかくそんなつまらない真似は止めさせてくれ。良輔に塾のテキストなんか必要ない」
「つまらない真似ってどういうこと?」
私は河田を睨んだ。
「河田、お前は家の中では傲慢なんだな。俺は奥さんの気持ちがよくわかる」
「ふん」
「何がふんよ」

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