この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
千一夜
第60章 第八夜 island その島について
不思議に思うことがもう一つ。いや、不思議というより厄介なこと(私にとって)と言った方がいいのかもしれない。
河田と私の儀式が終わると、私はストンと眠りの世界に落とされる。目を覚ますことなく朝まで私は眠り続ける。
このことを誰かに相談したら、間違いなくこう答えるだろう。
「それはいいことなんだよ。朝まで目を覚まさずに眠れるんだ。君が健康だと言う証拠みたいなものだ」
だが私はその誰かにこう続ける。
「目覚めると体が鉛のようになっているの。頭もすっきりしなくて、何も考えられないのよ。体が重いから起き上がることさえ億劫なの。最悪な朝を迎えた気分よ。これでも私は健康だと言える?」と。
幸いなことに時間が経つと、頭はスッキリしてくる。重いと感じていた体も動かし始めると、いつのまにか私の中に棲みついていた鉛が消える。
河田と一緒に朝食を食べ始める頃には、普段の私に戻っている。そんな私の違和感も気にしなければ非日常のせいにできる。でも……でも納得することはできない。
島での生活(バカンスというより、私には苦行だった)が終わる。船に二回乗り、飛行機にも二回乗って私と河田は家に帰る。私はホッとする。もう二度と行きたくない。
コバルトブルーの海もデジタルデトックスももうたくさんだ。
だが次の年の夏も、そしてまた次の年の夏も、私たちはその島に行った。
「もう飽きたわ。違うところに行きましょうよ」
私がそう言っても河田は私に耳を貸さない。
「そんなに行きたいのならあなた一人で行ってよ。私にはもう無理。絶対に無理だから」
河田は私の頼みを無視する。
そして状況はますます悪くなった。結婚して今では二人の子供を授かったのだが、河田は二人の子供を自分の味方にした。
河田は小学一年の上の息子にこう言う。
「秘密基地に宿題なんて持っていくなよ。今年はパパと良輔(上の子供の名前)で、秘密基地を完璧に仕上げるんだ。虫取り網は民宿のお爺さんが用意してくれるからな。狙いはサイカブトだ。でも良輔、捕まえたら後で逃がしてあげる。どんな虫にも命があるんだからな」
河田はずるい。秘密基地、虫取り、極めつけは宿題なんて持っていくなという河田の魔法。この言葉に心が揺れない男の子はいない。
はぁ~、また暑い夏がやってくる。行きたくない。あの島には何かがある。
あの島は変だ。
河田と私の儀式が終わると、私はストンと眠りの世界に落とされる。目を覚ますことなく朝まで私は眠り続ける。
このことを誰かに相談したら、間違いなくこう答えるだろう。
「それはいいことなんだよ。朝まで目を覚まさずに眠れるんだ。君が健康だと言う証拠みたいなものだ」
だが私はその誰かにこう続ける。
「目覚めると体が鉛のようになっているの。頭もすっきりしなくて、何も考えられないのよ。体が重いから起き上がることさえ億劫なの。最悪な朝を迎えた気分よ。これでも私は健康だと言える?」と。
幸いなことに時間が経つと、頭はスッキリしてくる。重いと感じていた体も動かし始めると、いつのまにか私の中に棲みついていた鉛が消える。
河田と一緒に朝食を食べ始める頃には、普段の私に戻っている。そんな私の違和感も気にしなければ非日常のせいにできる。でも……でも納得することはできない。
島での生活(バカンスというより、私には苦行だった)が終わる。船に二回乗り、飛行機にも二回乗って私と河田は家に帰る。私はホッとする。もう二度と行きたくない。
コバルトブルーの海もデジタルデトックスももうたくさんだ。
だが次の年の夏も、そしてまた次の年の夏も、私たちはその島に行った。
「もう飽きたわ。違うところに行きましょうよ」
私がそう言っても河田は私に耳を貸さない。
「そんなに行きたいのならあなた一人で行ってよ。私にはもう無理。絶対に無理だから」
河田は私の頼みを無視する。
そして状況はますます悪くなった。結婚して今では二人の子供を授かったのだが、河田は二人の子供を自分の味方にした。
河田は小学一年の上の息子にこう言う。
「秘密基地に宿題なんて持っていくなよ。今年はパパと良輔(上の子供の名前)で、秘密基地を完璧に仕上げるんだ。虫取り網は民宿のお爺さんが用意してくれるからな。狙いはサイカブトだ。でも良輔、捕まえたら後で逃がしてあげる。どんな虫にも命があるんだからな」
河田はずるい。秘密基地、虫取り、極めつけは宿題なんて持っていくなという河田の魔法。この言葉に心が揺れない男の子はいない。
はぁ~、また暑い夏がやってくる。行きたくない。あの島には何かがある。
あの島は変だ。

作品検索
しおりをはさむ
姉妹サイトリンク 開く


