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千一夜
第60章 第八夜 island その島について
 これから私が話すことを信じてもらおうとは思っていない。私の思い過ごしかもしれないし、私はその島のすべてを知っているわけでもないからだ。
 仮に私がこの島の研究者(おそらくそんな人間はいないと思う)なら、私は研究者失格だ。
 河田は島の人口をこう言った。
「三十人くらい」だと。
 だが、私が会ったのは宿のお爺さんとお婆さんだけだ。
 私は河田に訊ねた。
「本当に三十人もこの島に住んでいるの?」
「多分」
「多分? でも変じゃない? この時期なら帰省している人だっていると思うのよ」
 八月十三日、故郷に帰省する人は少なくないはずだ。
「帰省なんてしない人も多いんじゃないの。僕らだって飛行機に二回乗り、船にも二回乗らないとこの島には来ることが出来ないんだ」
 確かに河田の言うこともわかる。時代は変わったのだ。何が何でも帰省しなくてはいけないと言う決まりはない。
「ねぇ、この宿以外にお家が見当たらないんだけど」
 全周三㎞の小さな島だ。舗装されていない道のわきには小さな小屋のような建物しか見かけない。小屋に住むことだってできないことはないと思うが、いくら何でもそれはおかしい。
 船が発着する付近に一番大きな小屋がある。その小屋には大きな冷蔵庫と冷凍庫があって、運ばれてきた食品がそこに入れられるようだ。もちろん冷蔵庫も冷凍庫も島の人間の共通の財産だ。
「向こうの方に家があるんじゃないの」
 河田はそう答えた。
 向こうの方とは、宿と反対側のことだ。島の中央には丘があって、そこに登ると小さな森と反対側の海岸線が見える。私も一度登ってみたが、反対側の海岸線に家を見つけることはできなかった。
 そして河田にも変化があった。
 夜の九時、布団の中に潜り込んでいた私の体に河田の手が伸びてくる。下着が脱がされて、私は河田に犯される。何度も何度も河田の男性器が私の中に入ってくる。
 いつもより硬くて大きな河田の性器が私の穴に侵入してくる。子供を二人授かった今でも、河田の性器が入ってくる瞬間は怖い。告白する。痛いのだ。
 私の性器が悲鳴を上げる。
「ねぇ、もう少しゆっくり」「お願いだから強くしないで」「痛い!」
 私が河田にそう懇願しても、河田は耳を貸してくれない。
 九時に始まる儀式が終わるのは、深夜の十二時。
 終わると、河田はズタズタにした私を労わることなく、私に背を向けて寝る。
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