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千一夜
第60章 第八夜 island その島について
結婚式を挙げた次の年、私は河田から誘われてその島に行った。
「世界一美しい海を見ることが出来るよ。僕が保証する。一週間そこで過ごすんだ。麗子は何もしなくていいからね。料理も掃除も、それから洗濯だって民宿のおじさんとおばさんがやってくれる。麗子は大きなパラソルを持って浜辺に行く。そうそう、日差しは強いから日焼け止めクリームを忘れちゃいけない。日焼けした麗子も素敵だと思うけどさ。海風を感じながら本を読むなんてどうかな? 何なら全裸で泳ぐことだってできるよ。僕は一度真っ裸で泳いだことがあるんだけど、実に爽快だった。コバルトブルーの海を独り占めにしている感じがたまらないんだ。心配しなくていいよ。島の人口は……確か三十人くらいだったかな。麗子が裸で泳いでいても誰かに覗かれることなんてないからさ。パソコンやスマホは必要なし。と言うかそもそもWiFiが繋がらないんだよ。それに島の家には時計すらないようだ。陽が昇り陽が沈む。そのサイクルが島の人たちの体に沁み込んでいるんだな。まぁ、これは僕の推測だけどね。デジタルデトックス、僕や麗子がいま求めているのはそれだよ。僕は嘘は言わない。僕を信じて島に行こう。いいだろう?」
河田は私にこう言ったのだ。こんな風に誘われて断る人間なんてどこを探してもいない。
何か引っかかるものを感じたが(美味しい話には裏があるというではないか)、私は河田と一緒にその島に行くことにした。
島の名前は伏せておく、場所が特定されないように、飛行機はどこから乗りどこで降りたのかも秘密にしておこう。
ただ、私たちはその島に行くために飛行機に二回乗り、船にも二回乗船したことだけは伝えておくことにする。
島から島に渡るときの船(二回目の船)は定期船ではなかった。無線で連絡を取り、民宿が所有している船が私と河田を迎えに来た。
「○○島にようこそ」
七十くらの民宿のお爺さんが、私たちをそう言って迎えてくれた。
ん? 何だか妙なのを感じる。
お爺さんの言葉に訛りがない。それどころかお爺さんのイントネーションは東京式のイントネーションだった。
「奥様、お待ちしておりました。○○島は全周が三㎞の小さな島です。あるのは自然だけ、危険な動物や毒蛇も生息していません。安心してお過ごしください。これよりは私と家内が河田様と奥様のお世話をさせていただきます」
「……」
「世界一美しい海を見ることが出来るよ。僕が保証する。一週間そこで過ごすんだ。麗子は何もしなくていいからね。料理も掃除も、それから洗濯だって民宿のおじさんとおばさんがやってくれる。麗子は大きなパラソルを持って浜辺に行く。そうそう、日差しは強いから日焼け止めクリームを忘れちゃいけない。日焼けした麗子も素敵だと思うけどさ。海風を感じながら本を読むなんてどうかな? 何なら全裸で泳ぐことだってできるよ。僕は一度真っ裸で泳いだことがあるんだけど、実に爽快だった。コバルトブルーの海を独り占めにしている感じがたまらないんだ。心配しなくていいよ。島の人口は……確か三十人くらいだったかな。麗子が裸で泳いでいても誰かに覗かれることなんてないからさ。パソコンやスマホは必要なし。と言うかそもそもWiFiが繋がらないんだよ。それに島の家には時計すらないようだ。陽が昇り陽が沈む。そのサイクルが島の人たちの体に沁み込んでいるんだな。まぁ、これは僕の推測だけどね。デジタルデトックス、僕や麗子がいま求めているのはそれだよ。僕は嘘は言わない。僕を信じて島に行こう。いいだろう?」
河田は私にこう言ったのだ。こんな風に誘われて断る人間なんてどこを探してもいない。
何か引っかかるものを感じたが(美味しい話には裏があるというではないか)、私は河田と一緒にその島に行くことにした。
島の名前は伏せておく、場所が特定されないように、飛行機はどこから乗りどこで降りたのかも秘密にしておこう。
ただ、私たちはその島に行くために飛行機に二回乗り、船にも二回乗船したことだけは伝えておくことにする。
島から島に渡るときの船(二回目の船)は定期船ではなかった。無線で連絡を取り、民宿が所有している船が私と河田を迎えに来た。
「○○島にようこそ」
七十くらの民宿のお爺さんが、私たちをそう言って迎えてくれた。
ん? 何だか妙なのを感じる。
お爺さんの言葉に訛りがない。それどころかお爺さんのイントネーションは東京式のイントネーションだった。
「奥様、お待ちしておりました。○○島は全周が三㎞の小さな島です。あるのは自然だけ、危険な動物や毒蛇も生息していません。安心してお過ごしください。これよりは私と家内が河田様と奥様のお世話をさせていただきます」
「……」

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