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千一夜
第59章 第八夜 island 違和感
 猛暑酷暑はうんざりだが、私は夏が嫌いなわけではない。
 三年前、河田は逗子のマンションを買った。今更だが、河田はとにかくアクティブな遊びが好きな男だ。学生時代、国道四十九号線で死ぬ思いをしても、河田のそういう性格は変わらない。
 今河田が夢中になっているのは釣りだ。釣りを極限まで楽しむために河田は、小型船舶の一級の免許を取り、プレジャーボートを買った。ついでにマンションも。
 五月から九月まで、月に何度か私たちは週末逗子に向かう。逗子に着くと河田は真っ先にボートを操り、魚を求めて海に出る。河田が海に出ている間は私と子供たちはマンションで過ごす。
 ところが一人で釣りをすることに飽きると、河田は私を誘った。
「麗子もやろうよ」
「子供たちは誰が見てくれるの?」
「だったら親父とお袋を連れてくる。そうだ、みんなで海に出るのも悪くないよな」
「またお義父さんを運転手代わりにするの? 何だか申し訳ないんだけど」
「気にすることはないよ。親父は昔から運転が好きなんだ」
「……」
 確かに河田の父は運転は丁寧で上手い。
 私は河田の両親に甘えることにした。
 私が、日焼け止めクリームをたっぷり塗ってから出航する。釣りは河田に教わった。初めて魚がヒットしたときの感動は今でも忘れられない。もちろん、私も釣りにはまった。
 それと、大海原で私たちは交わる。
 辺りに誰もいないことを確かめると(誰かがいたなんてことは一度もない)、河田が私の体を弄る。お世辞にも広いとは言えない(特に天井が低い)ベッドルームに私は連れていかれる。服が脱がされ、河田は私の体中を愛撫する。特に胸とあそこは念入りに。硬くなった男性器を私の秘部に挿し込む。奥まで挿入すると河田は獣のように腰を振る。
 私は河田の太くて長い男性器と船のピッチングを感じる。数分後河田の一回目の射精を私は受け止める。そして二回目の射精のために河田はまた私の体を悪戯し始める。
 私はこれを河田の儀式と呼んでいる(自分の中だけで)。河田が私の体を求めるときは、いつも二回(それ以上のときもあるが)精液を放出するのだ。
 この儀式には続きがあるのだが、それは後で話すことにする。
 つまり私は夏が好きなのだ。私の気を重くしているのは、夏の家族旅行だ。
「はぁ」ため息を漏らしても河田に押しきられる。
 私は行きたくない。あの島は無気味だ。
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