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千一夜
第59章 第八夜 island 違和感
確かに河田のそういう部分については、目を瞑ってなかったことにすることはできない。だが、私はこう思うことにしている。百%完璧な人間なんてこの世の中にはいない。男はみんなすけべだし、河田の性欲(異常な)を満たすのは自分だけだと思えばいいことなのだ。
結婚して九年経ったが、河田の優しさはその年数に比例して増していった。
子供は二人授かった。上の子も下の子も男の子。欲を言えば女の子が一人欲しかったが、そんな贅沢なことを言ったら神様から叱られる。河田に似て丈夫に生まれてきてくれたことに、私は感謝しなければならない。
あっ、そうそう、河田は私が妊娠したとき、○○インターネットの役員を任期満了を待たずに辞任した。債務超過だった企業の時価総額を十五倍にした功績で、支給された退職慰労金は一億五千万円(相場の三倍)であった。
退職の会見で河田はこう言った。
「○○インターネットが国策企業になったことで私の役目は終わりました。楽しいときばかりではありませんでしたが、成長した○○インターネットを見ますと感慨深い気持ちになります。ここが私の引き際です。私事で恐縮しますが、妻が妊娠しまして、これからは家庭に入り、妻のサポートを全力でやっていく所存です」
そう会見した三日後、河田の師である加地から電話が掛かってきた。
「○○不動産の社外取締役をやれ。赤ちゃんが生まれた後は、CFOになってもらう。いいな」
加地との付き合いは今も続いている。
月に一度、加地と河田は二人だけでゴルフコースを回る。河田が負けたのは、河田が初めて加地とゴルフをしたときだけで、それ以降加地は河田に歯が立たない。
負けが続いた加地が河田にこう言った。
「年寄りに勝ちを譲る気はないのか」
河田はこう答えた。
「ありません。僕は負けるのが嫌いなんです」
そして二人は大笑いしたそうだ。
今は私と息子たちも加地の家に招待される。加地には一人息子がいるのだが、彼は父の後を追わずに違う道を選んだ。
初めて加地の家に行くとき、河田が私にこう言った。
「加地さんの息子の話は絶対にしないでくれ」
加地の息子の話は厳禁。加地の家の門を潜るときに、私は何度も自分にそう言い聞かせた。
現在、河田は五千億円の赤字を出した自動車会社の財務最高責任者になった。
求められる人間に休みはない。
結婚して九年経ったが、河田の優しさはその年数に比例して増していった。
子供は二人授かった。上の子も下の子も男の子。欲を言えば女の子が一人欲しかったが、そんな贅沢なことを言ったら神様から叱られる。河田に似て丈夫に生まれてきてくれたことに、私は感謝しなければならない。
あっ、そうそう、河田は私が妊娠したとき、○○インターネットの役員を任期満了を待たずに辞任した。債務超過だった企業の時価総額を十五倍にした功績で、支給された退職慰労金は一億五千万円(相場の三倍)であった。
退職の会見で河田はこう言った。
「○○インターネットが国策企業になったことで私の役目は終わりました。楽しいときばかりではありませんでしたが、成長した○○インターネットを見ますと感慨深い気持ちになります。ここが私の引き際です。私事で恐縮しますが、妻が妊娠しまして、これからは家庭に入り、妻のサポートを全力でやっていく所存です」
そう会見した三日後、河田の師である加地から電話が掛かってきた。
「○○不動産の社外取締役をやれ。赤ちゃんが生まれた後は、CFOになってもらう。いいな」
加地との付き合いは今も続いている。
月に一度、加地と河田は二人だけでゴルフコースを回る。河田が負けたのは、河田が初めて加地とゴルフをしたときだけで、それ以降加地は河田に歯が立たない。
負けが続いた加地が河田にこう言った。
「年寄りに勝ちを譲る気はないのか」
河田はこう答えた。
「ありません。僕は負けるのが嫌いなんです」
そして二人は大笑いしたそうだ。
今は私と息子たちも加地の家に招待される。加地には一人息子がいるのだが、彼は父の後を追わずに違う道を選んだ。
初めて加地の家に行くとき、河田が私にこう言った。
「加地さんの息子の話は絶対にしないでくれ」
加地の息子の話は厳禁。加地の家の門を潜るときに、私は何度も自分にそう言い聞かせた。
現在、河田は五千億円の赤字を出した自動車会社の財務最高責任者になった。
求められる人間に休みはない。

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