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千一夜
第51章 第七夜 マスカレード
 私と咲子は部屋にあるソファに座った。残念だが、体を寄せ合うようにして座ることはできなかった。
 限界だと思った。隠し通せるならずっとずっと隠しておきたかった。だがもう無理だ。咲子にすべてを話さなければならない。話すべきときが来た。
 何故私が沢田絵里を執拗に追いかけるのか? その沢田絵里に瓜二つの江村都子を知るために私たちは秋田まで来る必要があったのか? 疑問の源について私は咲子に話し始める。
 「君は知っていると思うが、俺は学生時代、新橋のトリコロールという喫茶店でアルバイトをしていた。アルバイトを始めて少し経ったとき、トリコロールに小学生の女の子が遊びに来るようになったんだ。六年生だと言っていた。劇団に入っていていつか俳優になると言っていた。可愛くてとっても元気で、まぁときには生意気な口をきくときもあったけど、妹が出来たみたいで嬉しかったよ」
「沢田絵里さん?」
「いいや」
 私は首を横に振った。
「……」
「彼女の名前は立花京子。だから俺は彼女を『京子ちゃん』と呼んだ。京子ちゃんは俺を『お兄ちゃん』と呼んでいたな」
「亮ちゃんじゃなくて?」
「ああ」
「……」
「シフトが入っている日にはいつもトリコロールに来てくれていたんだけど、ぷつりと京子ちゃんはトリコロールに顔を出さなくなった。恋人同士じゃないから、俺は京子ちゃんの連絡先がわからない。事故か何かで入院しているかもしれない。そう思っても俺にはどうすることもできなかった。気にはなっていたが、時間はどんどん過ぎて行った。大学を卒業して俺は役所の職員になった。もう京子ちゃんの記憶は薄まってなくなってたよ。ところが」
 うまく言葉が出てこない。いや、できるならこの部分だけは咲子に伏せておきたい。
「……」
「ところが、何十年ぶりに俺は京子ちゃんに会ったんだ。いや、会ったというより京子ちゃんが訪ねて来たんだ」
「訪ねて来た? 亮ちゃんの家に? どうして? どうしてその立花という人、亮ちゃんの住所を知っているの?」
「わからない」
「それはいつの話?」
「市長に誘われて君とゴルフをする少し前のことだ」
「最初のゴルフね?」
「そう」
「それで?」
「市長選のサポートをしてくれると沢田絵里さんを紹介されたときだ。心臓が止まるかと思ったよ。だって沢田絵里と紹介された人は立花京子だったんだからね」
「えっ!」
 
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