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cape light
第2章 花火なんて大嫌いなんですよ、僕は
うるせぇこのくそビッチ、と言いたいところだが、諸般の事情でその言葉が出てこない、まぁ……何ていうか、あの日以来僕と玲奈の間には日本とブラジルくらいの距離が生まれた。ブラジルには行ったことはないけど、多分恐ろしいくらい日本とブラジルは離れているだろう。
「まぁまぁ玲奈ちゃん、坂口君は負け犬なんかじゃないよ。明日はきっと勝ってくれる。坂口君は大事な時には必ずシュートを決める。そういう男なんだよ。僕はそう信じている」
久須美に信じられても僕は困る。
「坂口、腹くくりな」
福さん、腹くくれっていつの時代の言葉なんだろうか。福さん、ときどき怖い。
「ということでみなさん、明日は地域の方々のためにがんばりましょう。大いに長岡花火を盛り上げましょう。坂口君が言うようにここから長岡の花火なんて欠片も見えません。でも気分は長岡花火なんですよ。わかりますよね?」
わからねぇよ、わかるかわけないじゃん、と僕は心の中で毒づいた。
「坂口、心の声が顔に出てんだけど」
福さんのその一言に僕の心も体も一瞬で凍った。僕はかつて、福さんにキスしようとした暗い過去(間違いなく消したい僕の過去だ)がある。確かにあのとき僕は寝ぼけていた。でも福さんは僕のぐちゃぐちゃに消したい過去をちょくちょく持ち出してくる。勘弁してほしい。だから……だから僕は福さんだけには逆らえない。
「坂口君も、いっちゃんもお腹とか壊してないよね」
と久須美。
僕の目は福さんに向かった。福さんの目は僕の目を待っていた。福さんの目はこう言っていた「仮病なんて使うじゃねぇぞ」。体調はばっちりです。でも明日はわかりません。明日のことなんて誰もわかりませんから。
「店長、坂口の心配なんて必要ないです。坂口の腹は冬から私が鍛えていましたから」
「……」
僕は福さんに訊ねたい。どうやって腹を鍛えることができるのだろうか。そう言えば週に何度か僕は福さんからおにぎりとか卵焼きを頂いた。その中に……、いやいや考えてはいけない。考えたその先に待っている結論が僕は怖い。
「坂口君、今日はここで寝ていいよ」
「まじですか!」
「室温の設定は27℃ね」
「ありがとうございます」
「そしてこれも使っていいから。二百円を足せば飛燕のお風呂に入れるからね」
「まじでサンキューです」
僕はそう言って久須美から飛燕の日帰り風呂の回数券を受け取った。
「まぁまぁ玲奈ちゃん、坂口君は負け犬なんかじゃないよ。明日はきっと勝ってくれる。坂口君は大事な時には必ずシュートを決める。そういう男なんだよ。僕はそう信じている」
久須美に信じられても僕は困る。
「坂口、腹くくりな」
福さん、腹くくれっていつの時代の言葉なんだろうか。福さん、ときどき怖い。
「ということでみなさん、明日は地域の方々のためにがんばりましょう。大いに長岡花火を盛り上げましょう。坂口君が言うようにここから長岡の花火なんて欠片も見えません。でも気分は長岡花火なんですよ。わかりますよね?」
わからねぇよ、わかるかわけないじゃん、と僕は心の中で毒づいた。
「坂口、心の声が顔に出てんだけど」
福さんのその一言に僕の心も体も一瞬で凍った。僕はかつて、福さんにキスしようとした暗い過去(間違いなく消したい僕の過去だ)がある。確かにあのとき僕は寝ぼけていた。でも福さんは僕のぐちゃぐちゃに消したい過去をちょくちょく持ち出してくる。勘弁してほしい。だから……だから僕は福さんだけには逆らえない。
「坂口君も、いっちゃんもお腹とか壊してないよね」
と久須美。
僕の目は福さんに向かった。福さんの目は僕の目を待っていた。福さんの目はこう言っていた「仮病なんて使うじゃねぇぞ」。体調はばっちりです。でも明日はわかりません。明日のことなんて誰もわかりませんから。
「店長、坂口の心配なんて必要ないです。坂口の腹は冬から私が鍛えていましたから」
「……」
僕は福さんに訊ねたい。どうやって腹を鍛えることができるのだろうか。そう言えば週に何度か僕は福さんからおにぎりとか卵焼きを頂いた。その中に……、いやいや考えてはいけない。考えたその先に待っている結論が僕は怖い。
「坂口君、今日はここで寝ていいよ」
「まじですか!」
「室温の設定は27℃ね」
「ありがとうございます」
「そしてこれも使っていいから。二百円を足せば飛燕のお風呂に入れるからね」
「まじでサンキューです」
僕はそう言って久須美から飛燕の日帰り風呂の回数券を受け取った。

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