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cape light
第2章 花火なんて大嫌いなんですよ、僕は
「先輩、僕、先輩の気持ちわかります。ていうか、やっぱり先輩最高です」
 僕が子供の頃に受けた傷を理解してくれたのはいっちゃんだけだった。久須美も福さんもそして玲奈もマリも、僕の話を聞いた後笑い転げていた。訂正する。笑い転げていやがった。
 特に小学六年のクソガキマリは福さんの孫という血縁関係を最大限に生かして、夏休みだというのに塾にも行かず、ほぼ毎日リサイクルショップlighthouseにやってくる。
 何度も言ってやる、僕はガキが大嫌いだ。僕はクソガキマリと毎日顔を合わせるので、夏だというのにテンションが下がる(僕のテンションはいつも下がっているので夏は関係ないとは思うが)。
 クソガキマリは店の手伝いをするわけでもなく、事務所のソファで寝ている。だから僕はクソガキマリにこう言った。
「ひょっとしてマリは僕かいっちゃんのどっちか好きなんだろ? 毎日ここに来るのは僕かいっちゃんに会うためなんだよな?」
 だが、クソガキマリはただのクソガキではなかった。
「坂口、お前さ、鏡見たことある? 自分の顔。もてるわけないじゃん。馬鹿坂口」
 ソファに寝そべっていたマリは顔だけ僕に向けてそう言った……のではなく言いやがった。
 でも……でもマリのお母さんはマジできれいだ(そんなことは今はどうでもいいことだが)。あんな綺麗なお母さんからこんなクソガキが生まれるなんて僕には信じられない。しかしマリのお母さん、つまり福さんの娘さんなのだが、僕には冷たい。そこだけがちょっと悲しいい。
 僕の切なくつらい回想はこの辺で終わりにしておく。
「これ明日の分担表」
 久須美はそう言ってレポート用紙に手書きでかいた役割表のコピーを僕といっちゃん、そして福さんに渡した。
 久須美の分担表、ほとんど意味なし。なぜなら久須美と福さんが調理で僕といっちゃんは給仕をするとだけ書いてある。
「給仕って何ですか?」
 いっちゃんが久須美に訊ねた。
「給仕ってウエイターさんのことね。でもさ、給仕って書くところに僕のセンスを感じない? 何かいいでしょ?」
 よくねぇよくそおやじという言葉が喉まで出かかった。
「素人の焼きそばなんて誰が買うんですか? 限定百食即売り切れ間違いなしのファーロに任せればいいじゃないですか。あっちはプロでこっちはど素人なんだから」
「負け犬」
 そう言って玲奈が僕を睨んだ。

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