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flower
第4章 花のように

「いないよ」
私は即答したが実は何度か書く、というより描いた事がある。だがロクな事はない。所詮人間など表裏一体。結果的には知られざる一面を描く、知る事になる。
いや、正確には知った気になっているだけなのだ、とそこは切に思いたい。
「じゃあ!今度は私の事を書いてよ!」
「えっ?僕が美里さんをかい?」
「うん!書いて!」
「うーん。知ってはいるとは思うけど、僕は恋愛は書かないよ。サスペンスとミステリー専門だ」
「知っているよ。だから、、うん!美しき殺人鬼!」
「殺人鬼?まっ、、いつかね」
「本当?」
美里は私を試すように睨んだ。本音は書きたくはない。
「分かった!分かったよ!そこまで言うなら約束する!ただ、その為には美里ちゃんに取材しないといけないよ」
「うん!何でも聞いて!」
「、、君をもっと知りたい。それこそ骨身の君の姿を」
「骨身、、」
「物書きとしてではないよ」

これが私の精一杯の、、それこそ愛の告白だった。


その後、私と美里の交際が始まり結婚した。
私は宣言通りに劇団を捨てて、テレビの世界へと身を投じた。
つまらないこだわりは一切捨てた。
そして運もあったのだろう。それこそ数字という結果を残した私と美里との暮らしは少しずつ豊かになった。
その矢先にあの事故に遭う。
私は結論を導くように立場を変え、美里をモデルに物語を綴った。それはいつも以上に無意識に綴った。

許されない 

この言葉というより結論は我ながら意外だった。
いや、正確にはこうだ。

許されない!

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