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flower
第3章 flower 2

当時美里は二十七歳。
恋人はいたが、結婚をするつもりはお互いになかった。
というより結婚するなら普通の人。これが美里の理想であり優哉はぴったりと当てはまる人だった。
だが、その惹かれた普通さの裏側は優哉の血、というよりは家系か。そう、それらに逆らった涙と努力の賜物であり、優哉の願いだったと言う事を後に知る事になる。
つまり育った環境は普通ではなかった。
母親は幼い頃に自殺。父親は今で言う育児放棄。優哉は母方の祖父母の元で大切に育てられ大学まで卒業した。その祖父母も優哉が就職し安心したのか二人共にバタバタと病気で亡くなったという。
恋人と別れ交際を始めた美里は優哉に連れられ墓前にて挨拶をした。
「これからは私が優哉さんを守ってあげるね」
振り返れば逆プロポーズ、、そして初めて男性に言う言葉だったかも知れない。
自らの価値観に当てはまった筈の男性は知らず知らずに新たな価値観をお互いに生み、共に育む事となる。

