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憂いの動物探偵
第1章 憂いの動物探偵
いいタイミングか?甲高い犬の鳴き声が隣の部屋から聞こえた。中島と名乗る男は、ちょっと待て、と手で話を遮る。
隣の部屋には「誘拐」した例の犬がいるのだろうか?鳴き声からして小型犬だろう。

中島と名乗る男の背中、薄い白いワイシャツからはこれ見よがしに入れ墨が透けて、まるで覗くな!と書いてある。
私は興味を持った。もちろん、虐待などしていたら止めるつもりである。こっそりと後をつけて扉をそっと開けた。

あら?

洋室の小型ゲージにいたのはダックスフンド。だが、毛という毛は伸びていて全く手入れがされていないし明らかに痩せていた。男がケージに近づくとそのダックスフンドがゲージに寄り掛かり目一杯に尻尾を振っている。

ワン!

男は人差し指に手を当ててシッ!とやるとクーンと口を閉ざし伏せる。
(それにしても、、)
短期間でここまで手懐けるものなのか?
「ちょっと待っててね」
山盛りになったエサをゲージに入れるとダックスフンドは物凄い勢いで食べ始めた。
そして何より驚いたのが、男はまるで別人のように実に穏やかな笑みを浮かべているからだ。

美味しいか?

頷きながらの笑顔はそう語っている。
そう、エサじゃない。まさに「お食事中」だ。

犬は動物の中で唯一人間の心を察する事が出来るという事を聞いた事がある。それは得てして人としての本質を見抜く。何よりも犬は見た目で人間を判断しない。そう、それは私のように、、か。
( 、、、)
犬や猫を誘拐する。言葉はもちろん凶器などの脅しなどは全く効かないだろう。そう考えると思うほど簡単ではない。少なくとも誰にでも出来る芸当ではないだ。
人間の愛情に絶対はない。それは恋人、家族しかり、そしてペットなどはまたしかりだ。
(もしからしたら、、)

もしかしたらこの男は虐待や飼育放棄されているペットを見つけては誘拐というよりは保護をして飼い主を計りにかけているのかも知れない。
(考え過ぎか、俺ならどうする?)

冷静に考えればまずは警察には連絡し指示を仰ぐだろう。そしてどう見ても怪しいチラシ元へと踏み込めば終わりだ。ただし、後ろめたい事があるなら連絡はしない、というよりは出来ない。
だからといって男が善人のボランティアとも思わない。その後ろめたさを利用している可能性だって十分にある。そう、口止め料という名の身代金だ。
動物虐待の汚名はかなりキツい。
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