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第1章 憂いの動物探偵

　おっと携帯が鳴った。知らない番号、、うん。これは間違いなく依頼だよ。アンタいいタイミングで来たね。
「もしもし、、父だよ！父！息子よ、、」
「あっ？テメェ、、誰だよ！？」
ピッ！
、、下らん詐欺電話だな。
おっとまた携帯が鳴った。今度こそは間違いないな。



「もしもし！チラシを見たのですが！そちらはペット探偵の中島さん？」
「はい。中島ですよ。ご依頼ですか？」
「うちの子が. .うちの子がいなくなって！」
「承知しました。大丈夫ですよ。私にお任せ下さい。とにかくね、落ち着いて下さい。それでは特徴などを詳しく話を、、ええ、、では一度打ち合わせしましょう。事務所はですねぇ、、〇〇市の、、」


　まぁ、こんな感じ。あっ、さっきの答えな。依頼は月に一回あるかないか。但し料金はそれなりに高いよ。ズバリ成功報酬込みで三桁万円。もちろん相手を見るけど、、この三桁は絶対に譲れない。
でもお金には変えられないよな？
だって、愛する家族の命に値段なんて付けられやしない。まさに自由価格のプライスレスさ。

「その、、絶対に見つかるって、、そんなに簡単なんですか？」

おいおい、、まだ気付かないのか？

「えっ、、」

まっ、盗んでいるのは俺だから、、な。

「、、、、」
（ やっぱりか、、)

人間様と同等のペットを誘拐する。思い付いたのは随分昔の事さ。最初はな、人間相手の商売だった。そうだ、小口誘拐ってやつ。でもね、リスクの割には実入りが少ないし。何よりも時代が変わりスマホに監視カメラにGPS、、もう無理なわけ

　そこでペットに変更したわけだ。

言うまでもないけどリスクは天と地の差だな。捕まってもせいぜい窃盗罪に恐喝罪さ。仮に殺してしまったら動物愛護法だっけ？だとしても無期も死刑も打たれる事は絶対にない。
ただ殺した事は一度もないな。だけどね、確実に殺せるよな。誘拐され家族もさ、そこは分かっているとは思う。
だって動物虐待って全然珍しくはないし、犬猫を、、いや、動物を殺したところで心を痛めない連中は沢山いる。例えばイノシシを見ろよ。可哀想にな、今や害獣扱いだ。それにたかだか犬猫。呪って化けて出るなんて話聞いた事ないだろう？

まぁ、、だからな、ある意味でその効果は人間以上なんだよ。だからこそ連中だって必死にすがるわけだ。