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熱帯夜に溺れる
第4章 酔芙蓉の吐息
 引き出しの内部をざっと見ただけでも下着の色味はピンク系と赤系が多い印象だ。しかし中には黒や白の下着も混ざっている。
 触れてみれば素材もレースやサテンと様々、何気なく手に取った1枚は布地の部分が極端に少ないTバックショーツだった。

(こんな布の少ない際どいパンツ、体調が悪い日に身に付けるものではないよな? 腰回りを圧迫しないから逆にいいのか? いやでもこんなに透けたパンツじゃ腹を冷やすだろうし……)

 莉子がこんなにセクシーな下着を所持しているとは驚きだ。彼女には清楚系の下着を好むイメージがあったが……それはあくまでも純の勝手なイメージでしかない。

 選んでいいよと言われても熱を出して寝込む恋人に履かせるショーツの種類は一体何が正解なんだ。
 もしや純がどんなショーツを選んでくるか、莉子は試しているのか?

 やけくそで手にしたショーツは一番無難そうな桃色のショーツ。布の面積もそれなりにあり、履いていて楽そうな物を選んだ。

「お待たせ。はい、パンツ……」

 振り返ってショーツを渡そうとした純は、桃色のショーツを握ったまま言葉を失った。

 寝返りを打って仰向けになっていた莉子が両脚を大きく広げて自分の下半身に触れていたのだ。莉子の手が股の間で小刻みに動いている。

「……何してるんだよ」
「熱くてアソコがムズムズするから、待ってる間に自分で触ってたの。……純さんお願い。イかせてぇ……」

 純は莉子のお願いに弱い。しかもそんな赤い顔で潤んだ瞳で、こちらを見つめないでくれ。

「まだ熱がある。早く寝ないと下がらないよ」
「気持ちよくイけたらぐっすり眠れる気がする」
「そんな根拠もないことを……」
「ね、見て。こんなに濡れてるの」

 たった今まで蜜壺をまさぐっていた彼女の指が、純の指を絡め取った。窓から差し込む夏の陽光に照らされた華奢な指の先には愛液がたっぷり付着していて、ぬめりと湿っている。
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