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爛れる月面
第2章 湿りの海

徐々に背中が倒されていき、シーツの上に横たわらされた。頭の下には、きちんと枕があった。そばに添い寝をした井上が、あらためて覆い被さってくる。指腹に淡色の乳暈の輪郭を辿られ、たちまち両の突起は糸で引かれたように充血して屹り勃ち、倒され、弾かれた。並行して肘を上げさせられ、腋窩にも髭と舌を感じると、高く甘くなった鼻息が漏れてしまう。
何度も体が跳ねるが、揶揄されることはない。
しばらく、部屋には吸い音と、荒息と、ときどきの鼻声だけが立っていた。ふとした拍子に肌どうしが擦れて身が捩れ、投げ出している両脚の付け根に、もはや部屋の音に混じってしまいそうな潤いが自覚された。力を抜く、というよりも、力を抜かれてしまう。腹肌を手が這い下りていく。ももを密着させようとしたが、先回りして妨げられる。
「……もっと暗くして」
「いまさらか?」
笑った井上だったが、ベットサイドのコンソールで照明を落としてくれた。「真っ暗にするのは勘弁してくれ。この歳には辛い」
場違いな自虐を挟み、あらためて脚を外へと開かせてくる。内ももを指先が遡ってきて、希望どおり暗くなったのにもかかわらず、紅美子は重ねた手の甲を眉間につけて目を閉じた。
「ものすごい濡らしようだな」
「いちいち、そんなの言わなくていい。キモい」
「暗くしたら調子が戻ってきたじゃないか」
数度縁をなぞった指先が、門を開いて挿し入ってくる。荒息を吐いた紅美子だったが、関節が曲げられ、恥骨に向けて圧せられると、
「ああっ……!」
思ってた以上の大きな声が出た。いきなり二本、入ってきている。両者はそれぞれ別の場所を攻めているのに、全体では揃って小幅な出入りを繰り返し、加えて、指先が抽送のリズムと時には合い、時には違えた調子を刻む。
何度も体が跳ねるが、揶揄されることはない。
しばらく、部屋には吸い音と、荒息と、ときどきの鼻声だけが立っていた。ふとした拍子に肌どうしが擦れて身が捩れ、投げ出している両脚の付け根に、もはや部屋の音に混じってしまいそうな潤いが自覚された。力を抜く、というよりも、力を抜かれてしまう。腹肌を手が這い下りていく。ももを密着させようとしたが、先回りして妨げられる。
「……もっと暗くして」
「いまさらか?」
笑った井上だったが、ベットサイドのコンソールで照明を落としてくれた。「真っ暗にするのは勘弁してくれ。この歳には辛い」
場違いな自虐を挟み、あらためて脚を外へと開かせてくる。内ももを指先が遡ってきて、希望どおり暗くなったのにもかかわらず、紅美子は重ねた手の甲を眉間につけて目を閉じた。
「ものすごい濡らしようだな」
「いちいち、そんなの言わなくていい。キモい」
「暗くしたら調子が戻ってきたじゃないか」
数度縁をなぞった指先が、門を開いて挿し入ってくる。荒息を吐いた紅美子だったが、関節が曲げられ、恥骨に向けて圧せられると、
「ああっ……!」
思ってた以上の大きな声が出た。いきなり二本、入ってきている。両者はそれぞれ別の場所を攻めているのに、全体では揃って小幅な出入りを繰り返し、加えて、指先が抽送のリズムと時には合い、時には違えた調子を刻む。

