この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
爛れる月面
第2章 湿りの海
 そう吐き捨てると、紅美子は背すじを伸ばして一歩踏み出し、井上のそばを通り過ぎていく。

「どこにいくんだ?」
「シャワーに決まってんじゃん」

 背を向けたまま言い、バスルームへと入った。そこも、記憶にある場所だった。別に、どうということはないのだ、何も考えず、終わらせればいいのだ──、カーディガンを脱いで洗面台の上に畳み置き、躊躇を催す前にロングスリーヴシャツもスキニーパンツも脱ぎ捨てる。昨日から何度も覗き込んできたというのに、大きな嵌め込みの鏡は、髪を垂らして横目にも映らないようにしてブラを外した。長い脚からショーツを抜き取る際には、念のために目も閉じる。

「……んっ」
 鏡から斜向いて身を起こしたところで、突然、後ろから抱きすくめられた。「ちょっ……、勝手に触んなっ!」

 会社の女子トイレとは違って大声で怒鳴りつけたが、アンダーシャツを脱ぎ捨てた胸板を背に感じ、早速身の至るところが粟立った。不吉な肌波に身を捩り、

「きたないってのっ。離れろよっ」
「多少汚くてもかまわない」
「汚いのはお前だってのっ。がっついてないで、ちゃんとシャワー浴びてからにしろよっ」
「僕がシャワー浴びてるあいだに、指輪を探し出してトンズラするつもりだろ? 危ないコールガールの手口だな」
「そんなこと、しないってばっ。いいから、早く離れて!」
「それは無理だな」
「ふざけ……、んっ」

 脇の下から回ってきた手が、バストの片方を鷲掴みにした。もう一方の手は、腰から下腹、ももまでをねっとりと撫で回す。ふくらみを蹂躙する獰悪な手、肌に貪着する陰湿な手、いずれも強く裸身に巻き付いて、身じろぎができない。

「やめろ……」
/254ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ