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爛れる月面
第4章 月は自ら光らない
 背後を見ずに、紅美子が反省を口にすると、

「だって」
「ポニーもマズったな。うなじ丸出しだもんね」
「うん、……すごく可愛い」
「こいつぁたまらん?」
「うん、……たまらない」
「ガマンできない?」
「……できない」
「どーしても?」
「うん……」
「じゃ」紅美子は身を反転させて、いきなり徹の上唇をはんだ。「しょうがないか」

 唇で何度か突つき、唾液が溜まった頃合いで、舌を絡めていく。徹の手がエプロンの開いた後ろ側に差し入れられ、ミニスカートの上からヒップを撫でてくる。

「エプロン姿に興奮しないで。そんなんで結婚したら大変だよ?」

 囁きながら頬や耳へと唇を這わせると、抱きしめている徹の体が身震いし、ヒップの手が鈍った。何の勝負をしているわけではなかったが、紅美子は一気呵成に喉仏を吸い、第二ボタンまで外してはだけさせた肌を降りていく。しかし一発逆転を狙ってか、徹がエプロンの前を捲ろうとしてきたから、

「だめ」
 紅美子は腰を引いて、侵入を妨げた。「エッチしてたら、ご飯作る時間も、仕事する時間も無くなるじゃん。徹、止まんなくなるもん」
「そんなっ……。い、一回でガマン、する……」
「私も、止まんなくなる」
 そう告げてしゃがみ、徹のデニムに手をかけた。「これにしよ、ね?」

 ボタンを外して前窓を完全に開き、下着と一緒に脚の付け根まで下ろすと、完全に勃起を果たした肉茎が弾かれたように目の前に屹立した。何度か口で愛していくうちに、幹を震わせて健気に脈動している姿を見ただけで、唇を授ける前から胸に甘痛さを覚えるようになった。手を触れずに顔だけを近づけ、先端近くの皮の寄り集まったところを吸う。躍動する肉茎に鼻先を叩かれ、彼も悦んでくれているのがわかった。
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