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爛れる月面
第1章 違う空を見ている
「打ち合わせが終ったら、ここに寄るって言ってたから、それまで伝票、頑張って処理しよ? ね? 直接本人から聞けばいいよね?」
「えーっ、ほんとですか!」
「はいそのようです。……でもノルマ達成しなかったら、早田を追い返すからねっ!」
 
 紗友美をけしかけて、やっと自席に戻ることができた。

(早田、バドゥル・インターナショナルなんて会社に入ったんだ)

 時間をロスしてしまったぶん、素早く伝票細目をシステムへ入力しながら、紅美子は中学時代を思い出していた。確かに早田は頭が良かった。学年ではいつも二番。一番は徹。早田も徹と同じ超進学校に行き、地域で二人も合格したことは、近所の話題になったものだ。高校での早田は徹づてにしか聞いていなかったものの、中学の時と同じく、人気者でよくモテたらしい。大学では疎遠となってしまったようだが、きっと、その後も同じように過ごしてきたのだろう。勉強は徹のほうができたが、いわゆる「人間力」は早田の方が上だったということか。

(徹は人付き合いとかあんまりだしなぁ。サラリーマンには向いてないのかも)

 民間企業とはいえ、研究職に就いたのは正解だった、と納得したところで、席を立つ。

「タバコいってくる」

 はいっ──紗友美はモニタから目を離さず返事をし、一心不乱にキーボードを叩いている。その本気を最初から出しやがれ、と思うが、何だか憎めないところが紗友美が得をするところだった。息笑をついてシガレットケースと携帯を一緒に持ち、上り階段へと向かう。あまり、屋上に設けられた喫煙所で人に会うことはない。タバコを吸う人間が減ったいうこともあるが、社長は社長室で吸うし、工員は隣接した作業場に設けられている喫煙所で吸う。わざわざ屋上まで階段を昇ってくる人間はいない。

『中学の時の早田っておぼえてる? 徹と同じ高校行った』

 タバコに火をつけてから徹にメッセージを送ると、ほどなくして既読に変わった。

『もちろん。でも早田くんは京大に行ったから、大学以降は全然会ってないな』

 即返信。仕事してんのかなぁ、と呆れ笑いを浮かべ、
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