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爛れる月面
第3章 広がる沙漠
 徹が震える手でカットソーの裾を捲り上げ始める。首まで来ると、紅美子のほうから膝を折って頭から抜き取らせ、髪をハラハラと落として麗わしい上躯を晒した。袖を抜く時に一旦は離した先端を、すぐにまた握る。徹は追われるようにフレアスカートの腰にも手をかけたが、なかなか外すことができない。

「はやく」
「ん、ごめ……」
「初めてだと、やり方わかんない?」
「う……、うん」

 甚だ手際の悪くウエストを緩め得た恋人が手を離すと、紅美子は足元へ落ちたスカートをパンプスで踏んでしまうことも厭わず、つま先に引っ掛けて遠くへとやった。腹肌に、何かが飛んでくる。見下ろすと、臍の横を幾条もの滴が垂れている。

「すごいね、めっちゃ飛んでる」
「ご、ごめん……」
「止まんない?」
「うん……」
「ほんと、私のカラダ、好きだね」
「だ、大好き……、大好きだよ、クミちゃん……」

 背すじを伸ばして近くに聳え立つと、また、徹の先端から飛沫が上がり、ショーツの前布に散らされた。目の前の紅美子を見つめる徹の瞳が、狂おしげに潤んでいる。そんなに虚ろでは、真実を見破ることなんてできない──

「見て、徹。私、どっこも変わってない?」
「うん、すごく……、すごくキレイだよ」
「実はちょっと太ったんだ、てのは、ウソだけど」鈍感への失望を嘘の嘘でごまかし、「……もう終わり? おっぱいは別に見たくなかったんだね」

 焦った徹は、激しく首を横に振るった。

「だって、脱がせてくれなかったもん」
「ううっ、ち、ちがうよ、クミちゃん……」
「ちゃんと見てんの? 私のこと」
「う、うん……。うん……」

 今度は縦にガクガクと顎を引く徹から手を離し、自分の背中へと回した。透明の粘液を拭っていない左手が滑ったが、ブラのホックを外し、肩紐を抜いて遠くへと拋つ。腕を側身へと垂らして、もはや尖端まで実の詰まった胸乳を拝覧させてやり、
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