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爛れる月面
第3章 広がる沙漠
「ちょっと声が大きいぞ」
「……んっ、……こ、こうやって二人で来てんだから、お、女将さんたちだって、わ、わかってるでしょ……」
「他の奴に聞かせたくないんだ」

 頬を鼻で突つかれ、そちらを向くや口を塞がれる。同時に瑞々しい腹肌を下った指が、湯の中で密かに潤っていた花唇に挿り込んでくると、紅美子はためらいなく接面に向けて嬌声を放った。打ち震える襞を慰めるように撫でられて、膝を大きく開き、岩壁に背をつけて前へと突き出してしまう。人差し指に奥地を撫でられ、中指に天井を圧され、親指に充血した肉蕊を弄られて、差し出された舌をしゃぶっていなければ、絶叫を放ってしまいそうだった。

「んっ、ぷ……、でも、ちょ……」
「……ん?」
「ちょっ、……タ、タンマ」

 井上の肩を軽く数度叩くと、指が止まった。

「どうした」
「んと……、その、危ない、かも」
「噴きそうなのか? 毎度のことだろ」
「ちがうくて。……、その……、ごめんっ、ちょっと、トイレに行ってきていい?」

 照れた苦笑いで、正直に言った。風呂に入る前に行っておくべきだった。湯に濡らされた下肢を外気に晒し、中をほぐされると、たちまちに泄欲が終端に迫ってきていた。

 聞いた井上も、呆れた鼻息を顔に浴びせ、

「それは徹くんの前では絶対やめたほうがいい。ムードぶち壊しだ」
「だよね。ごめ、すぐ行ってくる……、んぁっ!」

 縁から立ち上がろうとしたが、内部の手は抜かれず、奥を圧して引き留められる。引き続き秘所を慈しまれると、腹の内膜に滲みるような感覚が広がり、一気に切迫していく。

「いや、それは、む、無理だって……」
「徹くんには見せたことあるのか?」
「あるわけないじゃんっ……」
「結婚生活ってのは、キレイ事だけじゃ済まされないぞ」
「意味わか……、っ、ね、ほんとやばい、シャレになんな……っ、い……」

 片膝をついて湯に入った井上が、臍の下を吸ってくる。
 いよいよ小孔の周りが熱く痺れてきた。
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